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稲熊君からの質問(2)

<質問>
これは2015年度、早稲田大学文学部大問Ⅱの(B)です。
The argument may be met in part by quoting experimental data that has shown there are great differences in the way in which Germans and Americans respond to failure in an experimental setting.  The Americans treated failure as a challenge to increase effort; the Germans responded to the same failure with discouragement and generally did not continue.  But those who argue for the effectiveness of conditions rather than character can still reply that the experimental conditions are not, in fact, the same for both groups; that the stimulus value of any circumstance depends upon how that circumstance stands out against the background of other circumstances in the life of the subject, and that this contrast cannot be the same for both groups.
赤本の下線部訳はこうなってます。
つまり、任意の状況においてその状況の刺激的価値を左右するのは、その状況がその被験者の生活における他の背景的状況に対してどのように目立っているかということであり、この対照が両方のグループにとって同じであるはずがない、と答えることができる。
僕にはどうしても「刺激的価値」という訳語がしっくりきません。そもそも、「刺激的価値」という日本語はあるのでしょうか?試しにGoogleで検索してみても、「エロの刺激的価値を高めないと、強い刺激が氾濫している世の中では埋もれてしまいますね」などの卑猥系か、「みんな個性があって刺激的。価値観や考え方の違う」という本来別々の単語が「。」を挟んで並んでいるものしかありません。それも全部で3件だけです。そこで先生に質問なのですが、赤本の「刺激的価値」という訳は正しいのでしょうか?
<回答>
稲熊君!前の補習で早稲田大学の文学部Ⅱ(A)を解いたので、Ⅱ(B)に興味が沸いてきたみたいですね。自分の志望大学の問題にどんどん当たってみるのは良いことです。でも、赤本は本当に当てになりませんね!早稲田や慶応などは駿台の青本を使う方が良いかもしれません。
さて、ご質問のthe stimulus valueですが、valueには不可算で「価値」の意味と、可算で「数値」の意味があります。こんな具合です。
正の
positive value
負の
negative value
期待
expectation value
このstimulus valueも「刺激値」、つまりその状況がどれだけ刺激的であったかを示す数値のことです。よくもまあ「刺激的価値」なんて訳語を付けたものですね。早稲田でこれですから、赤本も終わってます。薮下の和訳をつけておきます。参考にしてください。
しかし、それでもなお、性格よりも状況の方が有効だと言い張る人は、実験的な状況は実際には両方のグループにとって同じではないと答えることができる。つまり、どんな状況の中でも、その状況の刺激値、つまりその状況がどれだけ刺激的であるかを左右するのは、被験者の生活の中で、その状況が他の状況よりどれだけ目立っているかということであり、この違いが両方のグループで同じであるはずがない、と答えることができるのだ。

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