常田君からの質問(1)
<質問>
これは2014年度、大阪大学のⅠ(A)の和訳問題です。
It is true that science requires analysis and that it has fractured into microdisciplines. But because of this, more than ever, it requires synthesis. Science is about connections. Nature no more obeys the territorial divisions of scientific academic disciplines than do continents appear from space to be colored to reflect the national divisions of their human inhabitants.
僕の和訳は以下の通りです。論理構造をハッキリさせるために(だから)と(実際)の2語を入れてみました。
科学は分析を必要とし、専門分野に細分化してきたのも確かだ。しかし、このために科学は今まで以上に統合化を必要としているのだ。(だから)科学の目的は、事物のつながりを理解することである。(実際)宇宙から見た大陸が、そこで暮らす国民が国家で分断されていることが分かるように色分けされて見える分けではないように、自然は専門分野の領域区分に従うわけではない。
和訳はできたのですが、良く分からないのは、対立の「しかし」の直後に来るのが主張文なのだから「このために、科学は今まで以上に統合を必要としている」がそれだと分かるのですが、そうすると次の文の「科学の目的は、事物のつながりを理解することだ」はどうなるのでしょうか?
「しかし」で対立しているのが、「細分化」と「総合化」で、「しかし」は「一般的意見・客観的事実」とは対立していないので、次には主張文が来ないということなのでしょうか?とすると、冒頭の3つは理由文で、(だから)「科学の目的は、事物のつながりを理解することである」が主張文なのでしょうか?すると、これは一般的な科学の目的じゃなくて、今後の科学の目的や必要性を述べているのでしょうか。つまり、「専門分野に細分化してしまった科学は、今後は物事のつながりを理解することを目指すべきだ」と言ってるのでしょうか?
最終文は「宇宙」や「大陸」、「国民」や「国家」が出てくるので、具体文だと思われます。だから(実際に)を入れると文意が通じます。でも、主張文がどれなのかがやっぱりわかりません。薮下先生の意見をお聞かせください。
<回答>
常田君!これはとっても面白い質問です。Science is about connectionsは「A is about B」の構造から、これが「客観的事実・一般的意見」だと分かります。つまり、「科学というものは一般に、ものごとのつながりを解明するを目標としている」と言ってるわけです。そこで「一般」→「主張」→「具体例」の普通の論理展開に戻してやると分かりやすくなります。
(一般的に)科学の目的は、事物のつながりを理解することである。(そして)科学は分析を必要とし、専門分野に細分化してきたのも確かだ。しかし、このために科学は今まで以上に統合化を必要としているのだ。(実際)宇宙から見た大陸が、そこで暮らす国民が国家で分断されていることが分かるように色分けされて見える分けではないように、自然は専門分野の領域区分に従うわけではない。
いつも薮下が授業で使う例はこうでしたね。この型に流し込んだのが上です。
(一般的意見)みんなイモトのことをブスだ、ブスだと言う。
(主張)でも、僕は彼女が美人だと思う。
(理由)なぜなら、イモノとのお母さんも美人。
(具体例)実際、むしゃぶりつきたくなるような彼女の唇を見れば一目瞭然だろう。
いつもこの通りに論理を展開しなければならないというルールはありません。逆に、最近の入試問題は故意にこの順番を狂わせる手法を使う場合があります。そのことについては次回説明します。
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