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今井君からの質問・その1

<質問>
話題別英単語『リンガメタリカ』のPassage19・A Zero-Emissions Systemの中に次の様なところが出てきます。
Recently, the term “zero-emission” has been used in the broader context of a society or an economic system that produces no garbage or pollution.  The idea for the zero-emissions model comes from ecological systems.  There is said to be no waste in the natural world. ~
これの和訳はこうなってます。
最近、「廃棄物ゼロ」という言葉は、ゴミや公害を生み出さない社会や経済システムという、より広い背景の中で使われるようになっている。廃棄物ゼロモデルという発想は生態系からきている。自然界には廃棄物がないと言われている。
僕には「社会という広い背景の中で使われる」という日本語がしっくり来ません。「という」は同格の訳語ですが、context=a society(前後関係=社会)にはならないので、僕はこのofは同格ではないと思うのです。でも、河合塾の(本も出している有名な)先生に質問したところ、「同格です」というお答えでした。河合の先生の説明にはどうしても納得できないので、薮下先生の考えを聞かせてください。
<回答>
今井君!リンガメタリカの進み具合は順調な様子ですね。さて、ご質問のthe broader context of a societyですが、これはthe meaning of a societyとしなくてはいけないところをthe context of a societyとしてしまった京都工芸繊維大学の作問委員のミスです。最近の大学入試の英文は、今年のセンター試験も含めて、間違った英語で一杯です。先ずはその「ミス」から説明しましょう。
農村社会の発展というより広い背景の中で、僕らはこの出来事を良く理解する事ができる。
These incidents are best understood in the broader context of developments in rural society.
これはLongmanから引用した例文です。訳語はリンガメタリカにとりあえず合わせました。リンガメタリカと全く同じin the broader context ofが出てきますね。そして、Longmanは「context」を次の様に定義しています。
何かと関係があって、その「何か」の理解を手助けしてくれる状況、出来事の前後関係、または知識の枠組み
the situation, events, or information that are related to something and that help you to understand it
この例文に当てはめると、these incidents(これらの出来事)と関係があって、それの理解を手助けしてくれる状況や関係、知識の枠組みがdevelopments in rural society(農村社会の発展)だと言うわけです。だから、当然のことですがthe incidents=developments in rural societyにはなりません。あ、今は「同格のof」のことは忘れてくださいね。薮下がいいたいのは、「理解したいこと」と、「それと関係があって、その理解を手助けしてくれるもの」とは一致しないと言っているだけです。そのことを頭に置いて、リンガメタリカの英文をもう1度見てください。
「廃棄物ゼロ」「ゴミや公害を生み出さない社会や経済システム」
“zero-emission”a society or an economic system that produces no garbage or pollution
ほらね!「理解したいこと」と「その理解を手助けしてくれる状況」がイコール関係になってしまってます。ということは、この文脈でcontextを使っちゃいけないということです!じゃあどうすればよいのかと言うと、こうします。
「廃棄物ゼロ」という言葉は、ゴミや公害を生み出さない社会や経済システムという、より広い意味で使われるようになっている。
“zero-emission” has been used in the broader meaning of a society or an economic system that produces no garbage or pollution.
ほらね!キレイな英語になりました。今まではアホな赤本の誤訳を話題にしてましたが、それと同じくらいアホな入試問題があります。今後はこちらにも注目することにしましょう。結局、入試問題を作る人も、それを解説する人も英語が全然分かってない!ということです。帰国子女である今井君の違和感も、もしかするとここら辺にあったのかもしれません。長くなったので、続きは次回にします。
・Linda Yabushita

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