Skip to content

中保君からの質問(その1)

<質問>
スーパーゼミ「頻出英文法・語法問題1000」という問題集があるのですが、その中の95に次のような仮定法の問題があります。
If I (     ) you, I would not have said such  nonsense.(成城大)
①am・・・・・②have been
③were・・・④will be
答えは③のIf I were youなのですが、薮下先生は以前授業で「もし今~ならば、過去は・・・だっただろう」にはならないと言ってたことと矛盾しませんか?仮定法過去・過去完了の混合タイプは「もし昔~ならば、今は・・・だろう」しかないとたしか仰っていた気がするのですが。でも、解説を読むと、「僕が君でないという事実が、過去から現在まで引き継がれた、時を超えた内容という認識がある」と書いていて意味がよく分かりません。薮下先生の言うことが正しければ、「もしあの時僕が君の立場だったら」はIf I had been youになるはずですよね。いつものように分かりやすく説明していただければ幸いです。
<回答>
中保君!ちゃんと問題集をコツコツやってるのは感心です。やり始めたら、途中で止めないことが肝心ですよ。さて、君の質問ですが、確かに薮下が授業で言ったことと、この問題の解説とは矛盾してます。これは全く君の言うとおりで、本当はこうなっていないと文法的に間違ってます。
もしあの時僕が君の立場だったら、そんなバカなことは言わなかったでしょう。
If I had been in your position, I would not have said such nonsense.
だって、「昔を悔やむときはhad+過去分詞で悔やめ。でも、助動詞の後ろはhave」ですからね。それなら、なぜ昔のことを言ってるのにhad beenじゃなくてwereになるのかというと、「私だったら」が仮定法の条件節なんかじゃなくて、人に何かアドバイスを与えるときのおきまり文句、つまり慣用句だからです。問題文を書き換えるとこうなります。
一言いわせてもらうと、そんなバカなことは言っちゃダメだったね!
Let me give you some advice, you shouldn’t have said such nonsense.
仮定法というのは、現実の状況の逆を想定するので、その状況がはっきりしていないとわけが分かりません。だから、何の前後の脈絡もないままでいきなり仮定法なんかを出題しちゃダメですね。それに薮下が愕然としたのは、この問題の解説文です。
if節で仮定法過去完了が用いられていないのは、「僕が君でない」という事実が、過去から現在にまで引き継がれた、時を越えた内容だという認識があるからです。つまり、現在においても過去においても当てはまる事実だから、仮定法過去が用いられている。
いや、If I were youはただの慣用表現で、過去から現在に引き継がれた事実に基づいてしゃべってなんかいません。これ、赤本の解説と良い勝負をしてますね。コジツケもいいところです。実は、いいずな書店の『Vintage』という問題集にも類題が載ってます。
If I knew the solution to the problem, I (   ) you a long time ago.(東京理科大)
①told・・・・・・・②had told
③would tell④would have told
ま、これは帰結節のa long time agoから昔を悔やんでいることが分かれば④が簡単に選べます。でも、「発展」のマークを付けちゃいけないでしょ!こんなの発展問題でもなんでもありません。この解説もバカ丸出しです。こうなってます。
「もし今・・・ならば、過去は・・・だっただろう」という文意になる。
いや、絶対になりません。だって「もし今僕が君ならば、過去はそんなことは言わなかっただろう」になっちゃいますよ!それに「もし今・・・なら、過去は・・・だっただろう」という状況はタイムマシンでもない限り想定できません。繰り返しますが、「僕なら」とか「知ってたら」というのは、仮定法とは関係のないただの慣用表現です。こんな問題を仮定法として出題する日本の大学も変ですが、「新傾向」だの「発展」だのと言ってもてはやした上でロクな解説もつけられない日本の受験産業も変です。本当にこの国の受験英語は救われませんね。「その1」になっているのは、次回も引き続きこの仮定法を取り上げる予定だからです。

3 Comments

  1. url url" rel="ugc external nofollow">Chi wrote:

    いつも楽しく読んでいます。
    私は遠い昔に予備校に通っていたのですが、「仮定法」と考えるのではなく、”遠い形”と考えなさい。
    と教わった記憶があります。
    時間的に、人間関係が遠い、現実から遠い、といった具合です。
    そこで疑問に思ったのですが、”If I were youはただの慣用表現”という言葉についてです。
    この言葉が慣用的に使われるようになった背景には、上で挙げた「現実から遠い」が当てはまるので……、という事では無いのでしょうか。
    だとすれば、そのコジツケとされる説明も強ち間違っていないのでは。と思いました。
    もちろん、私が説明を受けた「遠い形」なるものがそもそもコジツケなのかもしれませんが。
    また、このトピックをみて、すぐに浮かんだのがURLです。
    ここでの回答とは矛盾を感じるのですが、宜しければお時間を頂けますと幸いです。

    金曜日, 9月 19, 2014 at 9:50 PM | Permalink
  2. Chi wrote:

    入力したURL(WEBSITE)は途中で切れてしまうようですね。
    失礼しました。改めて記載をいたします。
    http://blog.livedoor.jp/eg_daw_jaw/archives/2006-05.html

    金曜日, 9月 19, 2014 at 9:55 PM | Permalink
  3. yabu wrote:

    CHIさん!コメントありがとうございます。どこの予備校の先生が仰ったのか知りませんが、「仮定法と考えるのではなく、遠い形と考えなさい」は蓋(けだ)し名言です。「仮定法じゃない!」と断言されているところがスゴイ!まさにその通りで、これを「仮定法」という枠の中に引っ張り込んでしまうから、「僕が君でないという事実が、過去から現在にまで引き継がれた、時を越えた内容だという認識」などというコジツケが必要になるわけです。人と会話していて「僕なら」と言うときに、いちいち「僕が君でないという事実」なんて考えますか?薮下が言いたいのは、「僕なら」とか「知ってたら」という表現を仮定法で解釈してはダメ!ということです。
    ご指摘のURLも拝見しましたが、件の駿台講師の先生も同じ様なコジツケをされてますね。その意味では、『スーパーゼミ』や『Vintage』の著者と五十歩百歩です。彼の論法で行けば、「僕が鳥でない」のは(昔も)今も変わらないと言うことを明確にするためにも「僕が鳥でない」という現在の事実に反する仮定を表す仮定法過去を用いるのが望ましいことになってしまって、次の様な英文も正しいことになります。
    ⊿もしあの時あたしが鳥だったら、あんたの所へ飛んでゆけたのに。
    If I were a bird, I could have flown to you.(×)
    ここで大切なのは、「もしあたしが鳥だったら」と「もし僕が君だったら」はまったくの別物だと言うことです。「もしあたしが鳥だったら」は仮定法、「もし僕が君だったら」は人にアドバイスをするときの枕ことば、「もし僕がそのことを知っていたら」は人に言い訳をするときの枕ことば。
    ただし、「その事実が過去から現在までに引き継がれ、時を越えた内容である」と言っても良い場合があることを忘れてはなりません。例えば次の様な場合です。
    ⊿もし僕がスコットランド人だったとしても、スコットランドの独立には反対しただろう。
    If I were Scottish, I would have opposed Scotland’s independence.
    「僕がスコットランド人ではない」というのは、過去から現在まで引き継がれている事実です。だから、仮定法過去で表現しても問題はありません。そして、スコットランドの独立投票はもう18日に終わってますから、「独立に反対した」は仮定法過去完了です。こういう場合は「過去から現在まで引き継がれている事実」と言っても良いわけです。それを「僕が君でないこと」に当てはめようとしているからおかしくなるのです。

    土曜日, 9月 20, 2014 at 2:26 PM | Permalink

Post a Comment

Your email is never published nor shared. Required fields are marked *
*
*