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形容詞を副詞化する樋口祐介

僕は昔から樋口祐介の語り口が好きだ。普通は「赤い夕日が沈む」と形容詞で言うところを、彼は「夕日が赤く沈む」と言う。『金魚鉢の夏』でも「アブラゼミがヒステリックな声で鳴く」と言うところを「アブラゼミがヒステリックに鳴きかける」と言う。普通は形容詞で言うところをを副詞化することで、彼独特のリズムが生まれる。ユーモアと皮肉とが紙一重で張り付いていて、思わず口の端が持ち上がる。新刊が出れば必ず買って読む作家の一人である。

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