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ものづくりにおけるイノベーションなんてソニーには要らない!

経済財政・再生相の甘利さんは7日の閣議後の記者会見で、2014年3月期に赤字に転落することを発表したソニーに対してこう言いました。
「電機業界は軒並み赤字転落していたが、ようやく各社とも業績を改善し、過去最高益の企業も出ている。ものづくりにおけるイノベーションはソニーから、という創業の精神に立ち返って研究開発力をつけることを期待する」
彼のこの発言自体がソニーの株価を下げていることについては、ここでは置いておきましょう。彼が分かっていないのは、未だに「ものづくりにおけるイノベーション(technological innovation)」なんてことを言ってるとこです。日本企業が技術力では勝りながらも、米国のAppleや韓国のSamsungに負けてしまったのは、技術力に物を言わせて良いものを作っていれば勝てると思っていたいから。言い方を変えると、何を作ってどの様に売って良いかが分からなかったからです。
例えば、ソニーのウォークマン。2000年頃までは圧倒的なシェアを誇っていて、そのコンパクトな躯体が再生する高音質な楽曲に誰もが驚嘆しました。2001年に発売されたAppleのiPodと比べてみても、その完成度の高さや音質の良さは全く比較にならず、圧倒的にウォークマンの方が技術的には勝っていました。なのに、Appleは当時一般的になりつつあったコンピュータ・ネットワークを利用してiTunes Storeで曲を販売し、iPodだけじゃなくパソコンやスマホにインストールするiTunesというアプリで楽曲を再生・管理するシステムを構築しました。技術的には圧倒的にウォークマンの方が良かったのですが、ユーザは音質なんかよりも、楽曲を入手してから再生するまでの簡便性の方を評価したわけです。
Appleがすごいのは、ものづくりにおけるイノベーションなんかじゃなくて、ありきたりの技術を組み合わせて、ユーザが一番よろこぶシステムを構築して販売することのできるところです。一方、ソニーは当時、完成度の高い携帯型音楽プレーヤを作る技術も、SME(ソニー・ミュージック・エンターテーメント)という音楽ソフト販売会社も持っていたのですが、それをどう組み合わせて、どの様に販売すれば良いのか思いつかなかったのです。ま、きっと思いついてはいたのでしょうが、一度成功した土俵をなかなか離れられなかったのと、何の役にも立たないプライドを捨てられなかったのがソニーの敗因でしょうかね。
それにしても、甘利さんがなぜ今頃「ものづくりにおけるイノベーション」なんてことを言い出すのでしょうか。ま、彼の肩書きをみれば何となく想像がつきますがね。だって彼は日本の経済と財政の再生を担当しているのですからね。「再生」って言うのは、良かった昔をもう一度取り戻そうという意味なのだから、彼が隆盛を極めた頃のソニーに戻って欲しいと思ってるってことです。でも、タイムマシンでもない限り、そんなことは無理。それに、今はどのようにすれば古くてさびの浮いた発想から抜け出せるかが肝要なのだから、彼に任せておいても日本の経済は良くならないってことです。そんな甘利さんには、本田宗一郎の次の言葉を贈りたいと思います。
 「我々が行動(=もの作りを)する場合には、(何を作ったら売れるのかに)気づくことが先決条件である」、「技術があれば何でも解決できるわけではない。日本には技術屋はいるが、(何を作ったらよいのかと言う問題を)なかなか解決できない」

2 Comments

  1. びのー wrote:

    報告遅れてすいません 南山法 立命法 合格しました!!
    本当は先生に会い直接報告をしたかったのですが都合が合わず掲示板での報告ですいません
    大学生活に向けての準備が落ち着き次第先生に挨拶をしに伺いたいと思います

    土曜日, 3月 1, 2014 at 2:04 AM | Permalink
  2. yabu wrote:

    びのー君!!合格おめでとう!

    土曜日, 3月 1, 2014 at 11:13 AM | Permalink

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