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車戸くんからの質問(6)

 <質問>
今度のは金沢大学の下線部訳と河合塾の正解です。
  So if the world seems smaller now then it once was, could it be because we have exiled hence, whence, thither, and yonder from everyday English?  Perhaps, then, stealing words from other languages is the only way we can extend the horizon of our vocabulary and, so, our sense of ourselves.
 したがって、世界が以前よりも小さくなっていると思えるのなら、それは日常の英語からhence, whence, thirther, yonderといった言葉を追い出したからだとは言えないだろうか。そうだとするならば、おそらく、他の言語から言葉をこっそり借用することが、私たちの語彙の範囲を拡大し、そして私たちの自意識を拡大する唯一の方法なのだろう。
僕には「自意識を拡大する」の意味が良く分からないのですが、この和訳は正しいのでしょうか?
<回答>
車戸君!確かにこの訳語は変ですね。というよりも、これは英語の方がおかしいのでこんな訳語になってしまっても仕方がないと思います。sence of oneselfやsence of selfには「自意識」あるいは「自己意識」以外の意味はありませんからね。でも、僕らが「自意識」という言葉を使うのは、例えば赤ん坊が成長するにつれて、外の世界や他人と自分とを区別できるようになったような場合に「自意識」が形成されたと言います。
この英語の文脈は、母国語にはない語彙を外国語から拝借することで、今まで意識しなかったことに名前が付くわけだから、僕らの認識の幅がグンと広がるよ、ということなのだから、「自意識」がここで出てくるのがおかしいわけです。どなたか認識論か言語論、あるいは心理学の専門家の方で、このsense of ourselvesの意味が分かる人がいたら是非教えてください。
だから車戸くん!あまり「自意識」という訳語を気にしなくても良いと思います。いけないのは、ワケの分からない英文を出題した金沢大学と、それを問題集に収録した河合塾です。あ、薮下は今週いっぱい成績処理に忙殺されます。ですから、連載の開始は来週になりそうです。もう少しお待ちあれ!

4 Comments

  1. yamamoto keitaro wrote:

    こんばんは!お久しぶりです!
    藪下先生にお願いがあるのですがもしよろしければTOEFL-iBTのより実践的な解き方について教えていただきたいです。また、藪下先生が良いと思われる参考書を教えていただきたいです。自分でやらなければいけないことだとは分かってはいるのですが、意外と忙しい大学生活の中で留学基準の点数を取ることが僕にはとても難しいです。そこで今回一番頼れる藪下先生のお力添えをいただきたいと思いコメントさせていただきました。どうかよろしくお願いします。

    木曜日, 12月 12, 2013 at 7:04 PM | Permalink
  2. yabu wrote:

    慶太朗くん!久しぶりですね。薮下には今の慶太朗の英語の力がよく分からないので、ハッキリと断言はできないのですが、ここ(http://www.youtube.com/watch?v=a7r_-WUunIM)が参考になると思います。

    金曜日, 12月 13, 2013 at 5:36 PM | Permalink
  3. 雷神 公人 wrote:

    we can extend the horizon of our vocabulary and, so, our sense of ourselves.
    our sense of ourselvesはour vocabularyと並立ですから、知識が増えることで知能が増す(この逆は成り立たない)から、「自分自身のことがより深く全体として理解できるようになる」が正しい訳です。
    horizon ofとありますから「全体を眺め渡す」ことですから。

    水曜日, 2月 5, 2014 at 12:21 PM | Permalink
  4. yabu wrote:

    薮下の依頼に応えてくださったこと、心から感謝してます。僕の書き方が曖昧だったことをちょっと後悔しています。これは雷神さんの仰るとおりで、extend the horizon of our sense of ourselvesの訳語は「自分自身のことがより深く全体として理解できるようになる」が適当だと考えます。僕がここで「この英語がおかしい」と考えたのは、先ず、extend the horizon of~の表現を「語彙力の増加」には普通は使わないこと、そしてsense of oneselfの表現は、文学的表現(特に詩)や心理学用語としては使っても、言語論には使わないことを根拠にしています。普通なら、We can extend our vocabulary and, so, better understand ourselvesと簡潔に書いてやればいいところを、京都大学の英語はいつも著者が気取って書いて、これはちょっとやり過ぎじゃないかと思ってあんな出題者批判になってしまいました。さらにそれを、河合出版の問題集は心理学用語のまま「自意識」と訳出していたので、ちょっと残念に思ったわけです。

    木曜日, 2月 6, 2014 at 5:26 AM | Permalink

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