夏のアブラゼミ 第8日目 A of Bを超キレイに訳出するには①
リアルな集中講義の方の教材作りに目処がついたので、「夏のアブラゼミ」を再開します。今日は、最終回でやった広島大学のやり残しを片付けましょう。下の赤い部分です。
【問題】
Although I know of no scientific grounds to support my theory, I do not believe that a sense of humor is something that a person just is or is not born with, nor that it cannot be developed. My limited study of the mind and its potential suggests to me that we could all develop a sense of humor, if we but tried.
<広島大学>
A of Bが出てきたら「BのA」と訳してませんか?もちろんそれで上手く行くこともあります。この広島大のMy limited study of the mind and its potentialも「私の心とその潜在的能力の限られた研究」とやっても別にかまわないのですが、何が言いたいのかサッパリ分からないよね。そんなときに、授業でやった「これ」を思い出してください。
①「BがAする」で主格のof
②「BをAする」で目的格のof
③「Bの持つA」で所有格のof(「BのA」と訳出して上手くいく)
④「BというA」で同格のof
⑤「Bの中のA」で部分のof
⑥「Bで構成されたA」で構成要素のof ⑦「AのB」で単位・数量・種類のof
英語は名詞表現が好きですから、このA of Bの表現をよく使います。あ、A of BのAもBも名詞で、A of B自体も名詞の働きをします。でも、日本語は動詞表現が好きですから、A of Bをそのまま「BのA」と訳すと、さっきのように上手く行かないことがあります。
確かに、「study of the mind」を「心の研究」とやっても悪くはありません。でも、このA of Bを「BをAする」と訳出するとカッコ良くなります。この「する」という動作動詞を訳語に入れてやるのがコツです。
⊿私が心とそれが持つ潜在的な能力を研究したこと
my study of the mind and its potential
そして、limitedには「たかが知れてる」とか「大したことはない」という意味があります。ま、謙遜には違いないのですが、それを訳の中に織り込むには、こうしてやります。
⊿私が心と、それが持つ潜在的な能力を研究したことはたかが知れているのですが
もうちょっと名詞的になっても「する」があれば良いので・・・
⊿私がやった心とそれが持つ潜在的な能力についての研究には限界があるのですが
my limited study of the mind and its potential
実は、ofはaboutと同じで「~について」とか「~に関して」の意味があって、Aに関係なくof Bだけで「Bについて」とか「Bに関して」と訳出でます。ま、「Bを研究すること」でも「Bについて研究すること」でも大差はありませんよね。今度からA of Bが出てきたら上の①から⑦のうちのどの用法のofかを考えるようにしてくださいね。
次に、たぶんこの but が良く分からないと思うのですが、but は「しかし」の意味の接続詞だけでなく、onlyと同じで「~だけ」の意味の副詞にもなるのです。だから but を only に書き換えることができます。あ、これは「仮定法過去」で書かれているので、現在の妄想で訳出しなくてはなりません。仮定法についてはここで勉強してください。
⊿もし私たちがやろうとさえすれば
if we only tried
=if we but tried
これまでの事を考え合わせると、やり残しはこんな訳になります。
【全訳例】
私がやった心とそれが持つ潜在的な能力についての研究には限界があるのですが、私たちがやろうと思いさえすれば、ユーモアのセンスを育てることができることが、その研究から分かるのです。
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This was written by
yabu. Posted on
木曜日, 8月 22, 2013, at 7:25 PM. Filed under
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