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嗚呼、東大!

東大の英語がちょっと大変なことになってます。問1(B)が偏差値50レベルの問題に成り下がってしまいましたね。前までは「段落整序」だったのが、今年からはただの空所への文補充問題になっちゃいました。推薦入試は始めるわ、入試問題は易化するわでは、東大生の学力低下はもう必至。今までは東大卒官僚のレベルの高さで何とか保っていたのですが、これからはバカな子たちが国を動かすとなると、この国は一体どうなってしまうのでしょうかね。
以前、河合で東大・京大コースを教えていた頃は、問1(B)の「段落整序」は捨てなさいとアドバイスする講師が多かったようです。時間がかかる割に配点が低いので、その労力を他の問題に割り振る方が得だと考えてのことでしょう。それに、東大の合否は英語であまり決まらないので、戦略としては正しいと薮下も思います。でも、それぞれの段落の主張を捉えた上で、段落の抽象度や具体性、指示代名詞や指示形容詞の辻褄を合わせてやれば、そんなに時間を掛けなくても正解にたどり着くことができました。何よりも生徒の言語運用能力を見極めるにはとっても良い問題だったのです。その意味で、この東大の問1(B)を薮下は結構気に入ってたんですがね。だって、官僚の仕事は作文ですからね。
ところが、今年からは空所に文を補充するだけのくだらない問題になってしまいました。これでは、文章全体の構造や、その中で各段落が果たす役割なんか考えなくても、空所の前後文さえ読めば簡単にできちゃいます。つまり、(1)は直前文と同格関係にある選択肢を選ぶだけ、(2)は直後文の指示代名詞、「これ」が反映されてる選択肢を選ぶだけ、(3)は選択肢中にある「その影響」が具体的に何の影響かを考えるだけ、(4)は「A、そのためにB」の結果順接だから、直前文Aの結果引き起こされるBを選ぶだけ、(5)も「A、だからB」で(4)と同じ。これじゃあセンター問3Cの方がまだましです。
あ、4段落冒頭文の赤本の訳語も変です。After this point of ‘falling’ into timeを赤本は「この、時間の中に落ち込んだ時点のあと」と和訳してますが、これは誤訳です。ま、比喩表現だから直訳したのでしょうが「時間の中に落ち込む」では何のことだかさっぱりワケが分かりません。「時間の感覚が急に身について時間を意識し始める」の比喩表現なのだから、「突然時間の中に放り込まれる」くらいにしてやると良いでしょう。
世界で活躍できる子供達を育てようと、文科省は英語のカリキュラムに手を入れてきました。でも、文科省がどんなに頑張っても、高校は大学入試に合わせてカリキュラムを組んできます。だから大学入試を止めてしまわない限りは、高校のカリキュラムを文科省がいくら弄(いら)ってもダメなのですよ。改革すべきは大学入試と大学教育の方でしょ!

4 Comments

  1. ガルーダ wrote:

    僕は今年東大を目指してるものなのですが、問一の(B)だけで東大のランクがガクっと下がったというのは、しばし問題があるのではないですか?
    それ以外の問題は度外視するのですか?
    東大はいま誰が何と言おうとも日本で最高峰の大学です
    それは、さすがに否定しませんよね?
    後、官僚は全員が東大卒というわけではありませんよ?
    現総理大臣阿部総理は東大卒ではないことは知っていますよね?
    学力が高ければ、国の統治も必ずうまいとは限らないのではないのですか?
    社民党の党首である福島みずほは東大を主席で卒業してますが、あの方に国をうまく統治することができるとは思いません
    赤本の誤訳は東大とは関係ないことないですか?
    それは、教学社に直接文句を言えば良いのではないですか?
    後、受験生の今の時期に受験生のやる気を削ぐようなことはやめていただきたいと思います

    月曜日, 7月 22, 2013 at 9:42 PM | Permalink
  2. yabu wrote:

    英語以外の質問に答えるつもりは毛頭なかったのですが、ガルーダ君の質問がちょっと気になったので簡単に応対します。
    東大生の学力低下は今に始まった問題ではありません。このことを東大で教鞭を執っている教授陣が言い出してからずいぶん時間が経ってます。子供の数が減っているので、学力レベルの高い子の数も当然減ってきます。だから、東大合格者の中の下位層のレベルが下がるのも仕方のないこと。課題のレポートさえまともに書けない子がたくさんいると先生達は嘆いています。そこで東大は、日本からは優秀な学生を獲得するのが難しいのだったら、海外の秀才達に唾をつけようと考えました。それが「東大秋入学」プランでしたが、上手く行きませんでしたね(世界的に見ると東大はそんなに人気なんてないんです)。追い打ちをかけそうなのが、学力を考慮しない推薦入試の導入でしょう。これでは、合格者の下位層ばかりか、中間層までおかしくなってしまう。
    官僚の能力は、膨大な情報を瞬時に処理できること、そしてありとあらゆることを既存路線にはめ込む柔軟性です。簡単に言うと「情報処理能力」と「作文能力」です。東大の入試もまさにその力を試すための学力テストになってます。例えば、東大の英語入試は、英語の学力なんかじゃなく、「出題者の意図をくみ取る力」、「膨大な量の英文から必要な情報を素早く取り出す力」、そして「文構造を見抜く力」を試しているんです。だから今の問1(B)じゃ全然ダメなのです。もともと優秀な官僚を育成するために作ったのが東大なのですから、入試ではちゃんと「官僚に必要な資質」を試してくれないといけないのです。これを徹底するためにできたのが文部省(現文科省)です。あ、東大が文部省よりも先にできていたなんて面白いよね。まったく日本らしい!
    ガルーダ君の文脈では、総理大臣や副総理、社民党の党首までも「官僚」の枠に入ってしまってます。これはちょっと変ですね!ま、野党の福島瑞穂氏は別にして、安倍総理の「日本再興戦略」なんて全くの官僚が書いた絵図です。民主党時代に頭を押さえられていた官僚達は、今は水を得た魚。安倍総理のためにせっせと作文をこしらえてます。でも、彼らにとって新しいことと自分たちの利益にならないことは[悪]ですから、結局は旧自民党時代に先輩達が作った政策を、ちょっと名札を付け替えて出しているだけですがね。ストレスでトイレが近い安部さん、漢字の読めない麻生さんの人となりについてはノーコメントです。ま、彼らを見てると、出身大学相応の人物だと薮下は思うのですがね。
    言い方を変えると、薮下は「今後東大はものすごく入りやすくなる」と言っているわけですから、ガルーダ君のやる気を削いだとは思えません。加えて、日本のインテリゲンチャ達の合い言葉は「自分の子供を東に進学させるな」です。つまり、原発事故処理の失敗、東南海地震が誘発する富士の噴火を考えると、何が何でも西の大学に入学させようというわけです。ね、東大は絶対に狙い目ですよ!あ、それから赤本の粗探しは薮下の趣味ですから大目に見てください。

    火曜日, 7月 23, 2013 at 6:01 AM | Permalink
  3. Op wrote:

    >生徒の言語運用能力を見極めるにはとっても良い問題
    こんにちわ。
    段落整序なんてあんなのゴールデンタイムのクイズ番組的ななぞなぞ問題じゃない?ほとんど内容わからなくても解けちゃうし。対策すれば誰でもできるようになるけど、本番になると焦ってできなくなる問題の典型で、あの問題のどこが「言語運用能力」を見極めるのに良い問題なのか謎ですね。例えば、この段落は定冠詞があり、この段落は過去形だから、ひらめいた!この空欄にはこの段落が入るんだな!とかやってりゃ脳トレにはなるかもしれないけど、英語はできるようにならないし、ましてや言語運用能力が上がるとは思えません。名門校の生徒が完全に間に合わなかったときの捨て問として最後に回すこの問題なんか最初から存在意義がないというか。いや、過去問見て高校生威圧するにはいいかもしれんがw

    水曜日, 8月 30, 2017 at 6:32 AM | Permalink
  4. yabu wrote:

    Opくん!これは君の言う通りで、入試問題なんてまさにクイズ番組のなぞなぞです。英語力なんて試すことはできません。東大は情報処理能力を重視します。それに官僚は政治家のための作文ができないといけないので、与えられた情報を論理的に組み立てられなければなりません。だから、この段落整序はもってこいの出題形式なのです。でも、Opくんの言う通り、「言語運用能力」はちょっと大げさだったかも知れませんね。配点も中途半端ですから、戦略的にはどうしても余った時間つぶしになってしまいますよね。

    水曜日, 8月 30, 2017 at 7:49 AM | Permalink

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