引越が2つ重なって、昨年の12月からバタバタしています。最初の引越業者「T引越センタ」は荷物を積み残すわ、ベッドを壁にぶつけてクロスを傷つけるわ、おまけに運搬中にスピーカを破損させるわで最悪でした。普通なら積み残しを取りに引き返してくるのですがね。スピーカの破損状況を確認に来て、「弁償する」と言って帰りましたが、それ以来何の連絡もありません。安かろう悪かろうでした。
加えて、退居費用の精算でも大家と揉めていて、何と58万772円という法外な退居費用を請求されています。驚くことに、精算書には大手不動産業者エイブルのネイムと担当者名が記載されているのですが、実際はそんな担当者はエイブルには在籍しておらず、エイブルの名前をかたった詐欺まがいの精算書を大家が振り出していることが分かりました。不動産業界ではこんな違法行為が当たり前のように行われています。困ったものです。
さて、今日のネタは制限行為能力者を扱った「令和3年10月実施の問5」の設問3です。こんな具合です。
■営業を許された未成年者が、その営業に関するか否かにかかわらず、第三者から法定代理人の同意なく負担付贈与を受けた場合には、法定代理人は当該行為を取り消すことができない。
→誤り
これを解説しているのが某有名宅建サイトで、こんな調子です。
「営業を許された未成年者」ですから、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有します(民法6条1項)。しかし、「営業に関するか否かにかかわらず」というのであれば、話は違ってきます。営業に関しない場合であれば、他の未成年者と同じに扱われるからです。負担付贈与は、贈与を受けるだけでなく、それに負担が伴うものです(同法553条)。例えば、「この家を上げるが、その代わりに死ぬまで生活の世話をしてくれ。」というような契約をいいます。負担を伴う以上、「単に権利を得、又は義務を免れる行為」(同法5条1項ただし書き)ということはできません。したがって、未成年者が単独で行うことはできません。法定代理人は、この行為を取り消すことができます(同条2項、同法120条)。
この問題は「未成年者が法定代理人の同意なく負担付贈与を受けたら、法定代理人はそれを取り消せるか?」がポイントです。負担付贈与は「保護者に許可された営業行為」とは関係がないので、「営業を許可された」とか「その営業に関するか否かに関わらず」は作問委員の引っ掛けですから無視します。
作問委員は次の2つの原則を混ぜて「誤った選択肢」を作りました。赤い部分が2つの文の異なる部分です。
■未成年者が法定代理人が許可した営業行為を法定代理人の同意なく単独で行った場合、法定代理人はそれを取り消せない。
■未成年者が負担付贈与を受ける行為を法定代理人の同意なく単独で行った場合、法定代理人は取り消せる。
本当なら、上の2つの原則を踏まえて解答を導き出すのですが、制限時間内に完答するのにそんなほぼ余裕はありません。解説者が言ってるようなことを頭に思い浮かべていては間に合いません。じゃあ、どうするのか。
宅建の問題は正誤判定問題です。慣れてくると「営業を許された未成年者が、その営業に関するか否かにかかわらず・・・」まで読んだ時点でこの選択肢が誤りだと判断できます。だって、「営業を許された未成年者が、その営業行為を行った場合は取り消せない」しか正しいパターンは考えられないのですから。それができない場合は、「テーマ」、「主語」、「述語」だけに注目して設問を簡単に書き換えてみることです。こんな具合です。
テーマ=未成年者、負担付贈与
主語=法定代理人
述語=取り消せない
→未成年者が負担付贈与を受けたら、法定代理人は取り消せない。
パッと見で、これは誤りだと分かりますよね。僕は解説文を読んでいていつも思うのですが、解説者が言うことを試験会場で考えていては絶対に合格はできないんじゃないの?
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