今回は、この解説文のどこがいけないのかを考えてみましょう。
未成年後見人は、後見開始の審判を請求することができる(民法7条)。例えば、未成年の知的障害者が成年に達すると、法定代理人が誰もいなくなるという事態が生じる。このような不都合を防ぐために、未成年者が後見開始の審判を受けることができるようになっている。
未成年者が後見開始の審判をうけることはできません。後見開始の審判はあくまでも未成年者が成年した後に、成年者としての権利保護を目的としています。これは解説者が言うとおりで、未成年者が成年に達することによって、今まで法定代理人であった父母や未成年後見人が法定代理人でなくなってしまうからです。しかし、成年に達した後も法定代理人に面倒をみてもらうには、後見してもらうための審判を成年者として受ける必要があります。だから、未成年者のうちに後見開始の審判を受けることはできないのです。だから、この解説文は次の様に書き直す必要があります。
未成年後見人は、後見開始の審判を請求することができる(民法7条)。例えば、未成年の知的障害者が成年に達すると、親権や未成年後見が終了し、法定代理人がいなくなる可能性がある。このような不都合を防ぐために、親権者や未成年後見人は、未成年者が成年に達した後の権利を保護するために、後見開始の審判を請求することができる。
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