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早稲田大の内容一致問題(3)

今回は正解の選択肢の性質を考えましょう。言い換えると、早稲田の作問委員の先生は正解の選択肢をどうやって作るかを熟思するのです。これが分かっていないと早稲田に合格はできません。
入試問題は霊感や山勘で解いてはいけません。ましてや、本文で使われているのと同じ単語や表現が使われているからという理由で選んではいけませんよ!
選択肢bとdが正解なのですが、前回に抽出した著者の主張と比較してみましょう。先ず、bから考えます。
b. Some people object to the idea of coming across certain kinds of historical memorials since they feel they are too horrendous.
一部の人々は、歴史的な記念碑(=立像)を偶然見かけるなんて考えたくもない。なぜなら、その立像は極めておぞましいと感じるからだ。
object to the ideaは「考えに反対する」よりも「考えるのを嫌う」とか「考えたくない」が良いでしょう。赤本の日本語訳はちょっと壊れてますね。
では、本文で展開されている著者の主張はどうなっているのでしょうか?
But the men whose statues are being pulled down are not abolitionists but enslavers: owning up to their crimes is much more difficult for many British people than simply walking past them in the street.  And for other British people, having  to see these statues every day, sitting in lecture theatres and concert halls named after these men, is a daily act of violence that has become unbearable.
しかし撤去されている像のモデルは奴隷制度廃止論者ではなく奴隷所有者だ。彼らの犯した犯罪を認めることは、多くのイギリス人にとって、単にその前を通り過ぎるよりもはるかに難しいことだ。そして他の一般のイギリス人にとってこれらの像を毎日見なければならないこと、これらの人々にちなんだ講堂やコンサートホールに座ることは、耐えがたい日常的な暴力行為となってきてる。
選択肢bが下線部の記述と一致していることが分かりますか?よく見比べると、本文の主張の方はとても具体的で詳細な記述ですね。
「これらの立像を毎日見なければならないこと、こういう人たちの名前にちなんだ講堂やコンサートホールに座ることは耐えがたい日常的な暴力になってきている」
これが選択肢bになると具体性が切り捨てられ、抽象化されてヌルッ!ツルッとした惚けた文になっています。
一部の人々は、歴史的な記念碑(=立像)を偶然見かけるなんて考えたくもない。なぜなら、その立像は極めておぞましいと感じるからだ。

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