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「Basic」って何?(4)

「システム英語長文」がおかしいという話をしています。前回は2 Schools in the United Statesの第1段落の訳語が変だという話をしました。今回は「学科の科目」という訳語を考えてみましょう。これは第2段落に出てきます。こんな具合です。
Schools are expected to meet the needs of every child, regardless of ability, and also the needs of society itself.  This means that tax-supported public schools offer more than academic subjects.  It surprises many people when they come here to find high schools offering such courses as typing, sewing, radio repair, computer programming, or driver training, along with traditional academic subjects, such as mathematics, history, and languages.
能力に関係なく、あらゆる子供たちの必要性と、社会自体の必要性も満たすよう、学校は期待されている。これはつまり税金によって支えられている公立学校が学科の科目以上のものを提供することを意味する。多くの人たちは、この国に来て、数学や歴史や語学のような伝統的な学科の科目に加え、タイピングや裁縫やラジオの修理やコンピュータプログラミングや運転訓練のような講座も高校が提供しているのを知って驚く。
日本語で「学科の科目」という場合、大学で履修できる科目を紹介するときに「履修選択ができる電子学科の科目は以下の通りです」などと使います。言い換えると、特定学科の履修科目を指して使います。ところで、academic subjectsという場合、はやり大学の履修科目の中で「一般教養科目(general academic subjects)」などと使います。決して「一般学科の科目」とは言いません。あるいは、高校までの教育課程で体育や音楽などの「実技科目(practical training subjects)」に対して数学や歴史などを「教科科目(academic subjects)」と言います(「教科・科目」の様に中黒を入れる場合もあります)。決して「学科の科目」とは言いません。https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/wg/toushi/20170405/170405toushi11.pdf
そもそも学校の授業を分類するときに、例えば国語は大分類の「教科」、古典や漢文は小分類の「科目」に属します。「教科」や「科目」を全部ひっくりめて「学科」とも呼びます。だから、「好きな学科はなんですか?」と面接で訊かれると、「国語です」と答えても「漢文です」と答えてもOKなわけです。逆に言うと、科目は学科と同義なわけですから、「学科の科目」というのは「馬から落ちて落馬した」と同じくらい変なわけです。
学科の科目」という日本語を何の違和感もなく使えるのが僕には不思議で仕方がありません。

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