日本の劣化③。いい加減にしてください!
赤本の全訳は前から酷いなあと思っていたのですが、さすがに解答が間違っていることは今までありませんでした。でも、これは解答が間違っています!2015年度の島根大、大問1の第5段落です。設問4の和訳がここに設定されています。こんな具体です。
Of course, the American Dream sounds good and for some people it works, especially as a type of positive thinking. But it can be a burden too. I remember one friend saying he hated being told he could do anything when he was growing up. He didn’t want to be a doctor or the President and being pushed to do something special made him feel guilty for wanting a more ordinary life. After all, some people are happier on the well-worn path.
次に、赤本の全訳を引用します。
もちろん、アメリカの夢は心地よい響きがするし、とりわけある種の前向き思考として、それが機能する人もいる。しかし、それは負担にもなり得る。私は1人の友人が、成長していくうちに何でもできると言われるなんて嫌なことだと言ったのを覚えている。彼は医者にも、大統領にもなりたくなかったし、何か特別なことをするように強いられるせいで、彼はもっと普通の人生を望むのに罪悪感を抱くようになった。なんと言っても、踏み固めた道を通る方がうれしい人はいるのだから。
先ず、the American Dreamを「アメリカの夢」と訳す子はお爺さんがお婆さんでしょうから、日本語が揺らいでいるのは仕方がありません。言い換えると、ごまかすのが上手。次に、especially as a type of positive thinkingの訳語が間違っています。このasは「~として」の意味の「資格のas」ではありません。この英文には省略があって、especially for the people who think of the American Dream as a type of positive thinkingが省略なしの英文です。つまり、このasは「様態のas」です。ま、赤本ではこんなミスは日常茶飯事ですから、とりたててこのことを責めるつもりはありません。赤本のレベルはこんなものです。
でも、問題化されている部分を間違ってしまったら、赤本の存在理由が疑われます。大体、「成長していくうちに何でもできると言われる」という日本語は常識で考えても変ですよね。普通なら、成長していくうちにどんどんできないことが増えてゆくはずですから。ここら辺がジジイ、ババアらしい大様(おおよう)さでしょう。言い換えると、天国が近いと何でもアリアリなわけです。
これはhe hated being told he could do anything when he was a kidと言い換えられます。つまり、「子供の頃、何にでもなれるんだと言われるのが嫌いだった」と言ってるわけです。これなら意味が通ります。
こういうよく分からない和訳を付けられると、子供たちは混乱します。こんな訳語のせいで英語が分からなくなるのです。あ、僕がそうでしたから確信を持って言えます。本当にいい加減にして欲しいものです。
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