岩間君の挑戦(34)
問題 大阪大2016年度
(1) 人間の精神状態が環境に大きく左右されてしまうのは直感的に理解できるし、あまりにも自明なことのように思われるが、それを科学的に証明するのは実際のところ容易ではない。しかもそれが健康状態と密接な関係があることを立証するとなると事はいっそう複雑である。
(2) 文字が文化を進めるのに大きなはたらきをするのはたしかであるが、文字があらわれたために失ったものもある。そのひとつが、記憶力である。文字がないと、大事なことは、記録して保存するということができない。すべては頭の中へ刻み込まれ、記憶として保持される。記憶はきわめて重要な保存の手段、唯一の方法であった。
答案
Though we unconsciously understand that human mental conditions are dependent on environment, and this seems to be too clear, it is not easy to prove it with scientific means. Besides, when we prove the connection to health conditions, it is more complex to prove it.
It is true that letters play an important role to develop culture, but there are losses which are brought by the existence of letters.
One of them is a recollection ability. Without letters, we cannot preserve important things by recording them.
<読者への挑戦>
答案の赤い部分が間違っています。どうして間違っているのか、そしてどうすれば正しい英語になるのかを考えてみてください。
<添削>
岩間君!あ、本当は加藤祐真くんの答案なのですが、良く書けています。(1)は完璧です!今回は、(2)の「引き起こす」と「記憶する」の表現を勉強しましょう。
bringは「連れてくる」が原義で、そこから「もたらす」とか「引き起こす」の意味が派生します。でも、あくまで「連れてくる」が原義ですから、A bring BでAがBの直接の原因にはなりません。
⊿彼は会う人皆に災難をもたらす。
He brings bad luck to everyone he comes in contact with.
彼が悪魔か何かでない限り、彼が直接人に働きかけて人を不幸にすることはできません。彼と会うとたまたま不運が一緒についてくるわけです。だからbringです。
⊿核兵器が人類の滅亡をもたらすかも知れない。
Nuclear weapons may bring about the annihilation of man.
一方、核兵器なら、それが直接的な原因となって人類が滅亡します。核兵器が人類滅亡を引き起こすわけです。こういうときにはA bring about Bを使います。だから、答案はこうします。
⊿文字があらわれたために失ったものもある。
There are losses which are brought about by the existence of letters.
あ、bring aboutと同じ使い方ができるものに次のようなのがあります。
A cause B.
A lead to B.
A encourage B.
A drive B.
A result in B.
bring aboutと一緒に覚えておくと良いでしょう。あ、encourageの後ろにくる結果は「良い結果」じゃないといけません。そして、これらは全部「原因 result in 結果」の並び方です。でも、逆になるのもあります。
⊿核兵器が人類の滅亡をもたらすかも知れない。
The annihilation of man may be the result of nuclear weapons .
同じresultを使っていても「結果 is the result of 原因」になると、原因と理由が逆転します。区別がつかない子は「理由・原因のof」と「結果のin」で覚えると良いでしょう。ofの後ろには「原因・理由」が来ます。こんな具合です。
⊿ 彼は殺人犯だ(彼は殺人で有罪だ)。
He is guilty of murder.
一方、inの後ろには「結果」が来ます。「結果のin」は数や形が最後にどうなるのかを表現してます。こんな具合です。
⊿ケーキを2つに切ってね。
Please cut the cake in two.
だからresult in 結果、result of 原因になるのです。「記憶する」は次回にします。
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This was written by
yabu. Posted on
火曜日, 2月 28, 2017, at 3:01 PM. Filed under
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2 Comments
今日の午後、伺ってもよいですか?
6時間目から空いてます。待ってますよ。
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