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3年D組限定(5)

薮下が竹岡氏の『入試必携英作文』を講義し始めたのは、途中の「13.比較の基本」からです。ですから、それ以前の個所には目を通してはいません。必然的に、薮下が違和感を感じたのは「13.比較の基本」以降に限られます。それまでのところでも正解が間違っている可能性がありますが、それをここで洗い出す時間がありません。まだオムロンの翻訳が終わってませんし、来週一杯はJTBで忙殺されます。
 「13.比較の基本」以降で、明らかに正解が間違っていたのは、「17.重要表現(2)」EXERCISES Aの(5)です。こんな具合です。
値段を考えると、その家を買うのは難しい。
×Concerning the price, it is difficult to buy the house.
 竹岡氏はここでは「考える」に拘(こだわ)っていて、次の英語が誤りであることを強調します。
⊿値段のことを考慮すると、その家を買うのは難しい。
×Thinking the price, it is difficult to buy the house.
 確かにthink+名詞というのは、名詞がthatという代名詞の時くらいしか成立しません。それ以外は「Aを熟考する」ならthink about A、「Aを思い浮かべる」ならthink about Aと、前置詞が必要です。あとは予想の場合に「that+文」になるか、think A to be B、think of A as Bの「思う、見なす、考える」くらいです。だから、think aboutを使ってこう言っても間違えではありません。
値段のことを考慮すると、その家を買うのは難しい。
×Thinking about the price, it is difficult to buy the house.
 でも、それより大切なことを竹岡氏は失念しています。それはつまり「difficultは、取り巻く状況がとても複雑で、それを解決するためには大きな苦労が伴うという意味」だと言うことです。たとえば次のような英文だったら成立します。
政治的な状況を考慮すると、中国人が自国で家を買うのは難しい。
Considering the political situation, it is difficult for Chinese to buy houses in China.
 でも、お金がないから買えないときにdifficultは使いません。だから正解はこうしないといけません。
値段のことを考慮すると、その家を買うのは難しい。
Considering the price, I won’t be able to buy the house.
 中学では「問題がとても複雑で、それを解決するのが技術的、能力的に困難だ」という意味のdifficultしか出てこないので、受験生が誤ってdifficult to buyと書くのをよく目にします。でも、英語の先生がこれを間違えるといけないと思うのですがね。

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