二茅くんからの質問(1)
<質問>
次の英文は2014年度、大阪大学の大問Ⅰ(A)です。
It is true that science requires analysis and that it has fractured into a micro discipline. But because of this, more than ever, it requires synthesis. Science is about connections. Nature no more obeys the territorial divisions of scientific academic disciplines than do continents appear from space to be colored to reflect the national divisions of their human inhabitants.
赤本の全訳はこうなっています。
科学は分析を必要とし、専門分野に細分化してきたのは確かである。しかし、このために、科学はかつてないほど総合を必要としている。科学は物事の関連性を扱うものである。宇宙から見た大陸が、その住民が国家で分断されることを反映するように色分けされて見えるわけではないのと同じように、自然は科学の学問領域の区分に従うわけではないのであ る。
赤本はこのdoについてこんな解説を付けています。
「~doが置かれているのはthanの後ろで良く見られる倒置が起きているためであり、訳に影響しない」
否定語が文頭に出たり、ifを省略した時に倒置が起こることは知ってますが、thanの後ろでも倒置は起こるのでしょうか。それに、僕にはこのdoは倒置じゃなくて強調のdoのように思えるのですが、薮下先生の考えを聞かせてください。
<回答>
二茅くん!これはとても面白い質問です。実は薮下も最初このdoを強調だと考えました。こんな具合です。
⊿ネコが空を飛べないのと全く同じで、彼はピアノが弾けない。
He no more plays the piano than do cats fly.
彼がピアノが弾けないのは、ネコが空を飛べないのとまさに同じことだと考えると、このdoはまさに強調です。でも、今ひとつ確信が持てなかったので、駿台予備校の榎田先生に質問してみました。彼は次の様に解説してくれました。
<榎田先生の解説>
⊿洞穴や泥の小屋が我々現代人の家屋の需要にそぐわないのと同様に、過去の芸術もまた現代の我々の芸術を表現するものではない。
The art of yesterday can no more express our life of today than can the cave or mud hut fit our modern housing needs.
doだけを見ていると強調にも見えますが、この成城大が出題したcanを見れば倒置だということがハッキリします。canが文頭に出るのは倒置以外考えられませんからね。それに「ネコが空を飛べない」ことと「彼がピアノが弾けない」ことを比べたとき、重要なのは「彼がピアノが弾けないこと」の方で、「ネコが空を飛べない」のはただの喩(たとえ=比喩)に過ぎません。重要性が低い比喩の方が強調されるというのはおかしなことです。
あ、なるほどね!さすが榎田先生です。doだけなら「強調のdo」とも考えられますが、「強調のcan」なんてありません。これでスッキリしましたね。大阪大学のdoも赤本の言う通りで倒置だと言うことがこれで分かりました。ここで終わらないのが榎田先生のすごいところで、これ以外にあと2つの例文をすらすらと書いてくれました。彼曰く「これだけやっておけば”クジラ構文”のパターンは全部です。これでどんな問題が出ても大丈夫です!」
ということで、今回を含めで3回にわたり、榎田先生が教えてくれた例文を使って、クジラ構文の変則パターンを勉強します。お楽しみに。
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4 Comments
薮下先生お久しぶりです。G組の二茅です。
質問じゃないのですが…
明日の午前中 学校に行くのですが、先生は学校にいらっしゃいますか?
先生にTOEICの件で相談したいことがありまして…
突然ですみません!
二茅君!薮下は午前中、高1の試験監督が2つ入っています。10時30分には終わります。それからすぐに実家に帰ろうと思ってます。ですから今日はちょっと都合がつきません。
中・高は今日まで学年末考査だったんですね!突然の連絡ですみません!
今月は部活で何回も学校に顔を出すので、その際先生がいらっしゃったら、そのときにお願いします!
了解しました。来校の際には、職員室を覗いてください。
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