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常田君からの質問(3)

普通なら、「一般的意見」⇔「主張」→「理由」または「具体例」の順に論理が展開するところを、わざわざこの順番を狂わせて問題を複雑にする傾向がある、という話の3回目です。その実例をセンター英語の大問3、『不要文指摘問題』から引いてきて遊んでます。
あ、ここで『不要文指摘問題』の特徴を簡単にまとめておきましょう。
1.冒頭文が主張文、最終文が結論文になっていて、結論文では主張が形を変えて繰り返される。
2.だから、「不要文」は「理由のふりをしている文」か「具体例のふりをしている文」になるのだが、具体例のふりをするのは難しいので、大体が「理由のふりをしている文」を探せば良い。
3.「2つ目のalsoやanother」を使って多重構造をつくっている。「2つ目の理由」か「2つ目の具体例」だと考えると簡単。
4.「理由のふりをしている文」は主張文の理由としては「①大げさすぎる」、「②一部分しか裏付けていない」、「③主張を勝手に展開している」、「④そんなことは理由にならない」の4つのこどれかに当てはまる。
5.「一般的な意見」は出てこない。
さて、次の英文も去年のセンター英語・追試験の英文です。
One of the most important kitchen tools is the simple hand-operated can opener―the manual can opener. Can openers are needed to open some canned foods, and nowadays many people have easy-to-use electric ones. Recently, even some electric can openers with multiple functions have been getting cheaper. However, with a manual can opener, even when there is an electric power failure, you can still open cans.  In fact, it is one of the first kitchen tools to disappear from supermarkets when a disaster occurs. Another advantage of a manual can opener is that it will last for years without any maintenance.   In any event, it is always a good idea to have a manual can opener in your kitchen.
あれ?不要文はどこにあるのでしょうかね?日本語の構造図にしてみると、こうなります。
[主張]最も大切な台所用品の1つは、手で使用する簡単な缶切り、つまり手動の缶切りだ。
[一般1](一般に)缶切というものは缶詰類を開けるのに必要で、今では多くの人が使いやすい電動式のを持っている。
[一般2](そして)最近では、多機能の電気缶切りでも、値段が安くなってきている。
[理由1]でも、手動の缶切りがあれば、停電の時でさえ、缶詰を開けることができる。
・・[具体]実際に手動の缶切りは、災害が起きたときにスーパーマーケットから最初に姿を消す台所用品の1つなのである。
[理由2]手動の缶切りの持つもう1つの利点は、何の手入れもしないでも、何年でも使えることだ。
[結論]とにかく、台所に手動の缶切りを備えておくことはいつの時代でも良い考えなのだ。
実は、このままでは「不要文」はみつかりません。実際の問題はこうでした。
[主張]最も大切な台所用品の1つは、手で使用する簡単な缶切り、つまり手動の缶切りだ。
[一般](一般に)缶切というものは缶詰類を開けるのに必要で、今では多くの人が使いやすい電動式のを持っている。
[理由1]でも、手動の缶切りがあれば、停電の時でさえ、缶詰を開けることができる。
[具体]実際に手動の缶切りは、災害が起きたときにスーパーマーケットから最初に姿を消す台所用品の1つなのである。
[理由2]手動の缶切りの持つもう1つの利点は、何の手入れもしないでも、何年でも使えることだ。
[一般](そして)最近では、多機能の電気缶切りでも、値段が安くなってきている。
[結論]とにかく、台所に手動の缶切りを備えておくことはいつの時代でも良い考えなのだ。
ね!面白いでしょ!この問題は、本来意味の通じるひとまとまりの文章から、1文をちょっと移動させて作ってあるのです。こうなると「不要文」は「一般2」の文です。では、なぜ「一般2」がここに移動するといけないのか分かりますか?答えは次回にします。

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