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乾君の挑戦・その4

皆で一緒に考えた英語が、龍安寺の英語のパンフレットになる企画の2回目です。この日本語は、パンフレット冒頭の年表の一部です。たったこれだけの日本語なのに、英語にするのが結構大変です。

<問題>

1147年、藤原実能(ふじわらのさねよし)、円融寺(えんゆうじ)跡を領有、ここに山荘を営み徳大寺を建立。後の家名となり、徳大寺家が山荘を世襲。
<答案>
In 1147, Fujiwara no Saneyoshi took possession of the ruins of En’yu-ji Temple, and ran a mountain villa and built Tokudai-ji Temple here. It had become their family name, and they owned the villa by succession.
<読者への挑戦>
赤い部分の英語が間違っています。さて、どうしてそれが間違っているのか、またどうすれば正しい表現になるのかを考えてみてください。
<添削>
2.藤原実能は山荘なんか経営しない!
問題文には「山荘を営み」とあるのですが、藤原実能が山荘を経営していたわけではありません。「山荘」というのは「別業(なりどころ)」のことで、貴族のいわゆる「別荘」です。「別業」はmountain villaではなくて、ただのvillaでOKです。そして、その別荘を「営む」とは「拵(こしら)える」とか「造る」ことです。だから、ここは「実能は別荘と徳大寺を建てた」と読み替えなくてはなりません。さらに、「ここに」というのは、前に円融寺があった場所、つまり円融寺の「境内(けいだい)」ですから、in the groundsにします。あ、「境内」は常に複数形で使います。こんな具合です。
藤原実能は別荘と徳大寺を建てた。
Fujiwara no Saneyoshi built a villa and Tokudai-ji Temple in the grounds.
「営む」の語源は「暇(いとま)がないくらい忙しいこと」の意味の「暇無し(いとなし)」の変化形で、そこから「休まずちゃんと仕事をする」の意味になって、「執り行う」、「準備する」「こしらえる」「営業する」などの意味が派生しました。ここでは、別荘を「経営する」ではなくて「こしらえる」が適当です。
あ、Enyu-ji Templeのアポストロフィは一体何ですか、という質問をたくさんもらいました。これは、もしアポストロフィがなければ、向こうの子たちは「エンユウジ」ではなくて「エニュウジ」と発音してしまうからです。ね!翻訳って結構厄介でしょ!続きは次回にします。

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