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contextの問題

contextの問題ですが、私はcontextについては、textのベースにある土台・背景・文脈という認識をしています。
たとえば、
アメリカ社会というコンテクストにおいては、銃は特別な意味を持っているのである。
The gun has a special meaning in the context of American society.
といった使い方になります。
この場合の「コンテクスト」は「”アメリカ社会という”コンテクスト」となりますので、同格というよりもこの「コンテクスト」にかかる修飾語句と考えます。
さらに、「AというB」という構文においては、別の例を挙げてみます。
「水野”という”学生がいました」
この場合においても、水野と学生は異なります。すなわち、「水野という」は「学生」の修飾語句となり、両者は同格とはいえないと考えます。
さらに、別の観点からすると、この場合の”コンテクスト”は、ただのコンテクストではなく、”アメリカ社会”というものの”コンテクスト”である、ゆえにtheがつくのではないでしょうか。しかし、「アメリカ社会」と「アメリカ社会という背景」は異なる存在ですので、同格にはなりません。
ちなみに国語で同格が取りざたされるのは、古文においてであり、以下のような場合です。
エロ本 ”の” とてもすごいやつ。
「すごいやつ」の「やつ」は「エロ本」ですから、
「の」の前後は、同じ「エロ本」となります。
こういう関係におけるものを「同格」とし、「~で」と訳す。つまり「エロ本でとてもすごいやつ」となるわけです。
注意するのは、二回目の「エロ本」については、二回目なので、省略される傾向にあるということです。省略されなくとも、ここにあるような「やつ」とか「の(”~もの”と訳す”体言の代用”)」で表現されることになります。
例文:エロ本”の(=で)”、めっちゃすごい”の(=もの)” を送ってくれ!
ということは、以下のようにも考えられます。
少なくとも古文における同格というのは、同格は、単に名詞を伝えているためのものではない。同じ名詞に情報を追加するために、同格を用いているということです。この場合は追加される情報は「めっちゃすごい」です。
随分横道にそれましたが、いかがでしょうか。
英語の同格についても調べてみて、比較してみます。興味があります。生徒に同じタームを使って、実は違うことを教えていたら、それは大変なことですし…
これについては、逆もしかりです。タームが異なるが同じ概念ということ、たとえば、英語の仮定法と古文の反実仮想は、ほぼ同じ概念ですし、英語の現在進行形は、古文の存続の助動詞と同じ概念です。この手のことも、英語・古文・漢文において相違点を整理することは、単に面白いだけでなく、生徒にとっても非常に有用なことではないかと考えます。
たとえば、漢文と英語は構造上非常に似た構造を有しています。どちらもVを機軸に据え、SとOがその前後に来るという位置で決まる言語である、助動詞(一部の副詞も)も同様、位置で決まります。前置詞の概念も英語と漢文では同じです。(to、in、fromなどは「於」とあらわす。fromは「自」likeは「如」)
対して、日本語は位置が変わっても変な日本語になるけど文意は同じ。なぜなら、どこに行こうが「~が」というタグがつけば主語になり、「~を」というタグがつけば目的語になるからです。
水野君は卵を食べる。
水野君 食 卵。
Mr. Mizuno eats an egg. 
水野君と 卵の位置を入れ替えてみると…
卵を水野君は食べる。
卵食水野君.
An egg eats Mr. Mizuno.
下克上が起きたのは英語と漢文だけで、日本語は成り立ちます。
このようなものを「格助詞」とよんでいますが、この「タグ」のシステム、つまり「てにをは」のシステムが英語を母語とする人には無いので、辛いのでしょうね。
ということは、漢文にはレ点とか一二点とかついていますが、そんなものは無視して読める事になる。なぜなら英語はそんな点が無くても読めるから。即ち、特殊構文に該当する部分に留意しながら、Vを決めて、SとOの領域を設定する、という英語の読み方をしていればいいのです。だから、白文で十分よめる(はず)です。
なんてことを生徒に教えると「なるほど!」とか声が聞こえます。
でも、これをお読みになっている藪下先生は、「こんなんあたりまえやん」とお思いでしょう。
しかし、生徒が「なるほど!」といっている背景には、その「あたりまえやん」を、古文の教員が教えていないところにあります。ここに、英語・現代文・古文・漢文の用語やメソッドを整理するメリットがあるのではないかと考えます。
(もちろん、漢文=英語と教えるのに反対の漢文学者もおります。)
いかがでしょうか。
・Taiga Mizuno

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