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車戸君からの質問(14)

<質問>
京都大学2010年度の問2の下線部訳について質問があります。
The fact that in half the countries of sub-Saharan Africa the survival rate to the last grade of primary school is 67% or less is not irrelevant to prospects for overcoming the region’s marginalization in the global economy.
赤本の訳はこうなってます。
サハラ以南のアフリカ諸国の半数において、小学校の最終学年まで子供が残っている割合が67%以下であるという事実は、この地域が世界経済の片隅に追いやられている状況を克服する可能性と無関係ではない。
前に僕が訳したときにはこうしました。
サハラより南のアフリカ諸国の半数が、小学校学校6年生まで子供が学校に残っている割合が67%以下であるという事実は、世界的に見たときの、この地域が抱える深刻な経済的な格差を克服することのできる可能性と関係がある。
薮下先生は「経済的な格差」でOKと言ってくださったのですが、駿台の青本の正解例を見てもやっぱり「世界経済の片隅に追いやられている状況」になっているのをみて、ちょっと不安になっています。本当に「経済的な格差」と訳しても良いのですか?
<回答>
車戸君!自信を持ってくださいね!大体、marginalizationなんて言葉を知ってる受験生はいません。せいぜいmarginを「周辺」とか「差」という意味で覚えているだけでしょう。そこからmarginalizeを「周辺化する」と推測して、「疎外化する」とか「過小評価する」を思いつくのは不可能ですよ!それよりも、「差」から「格差」を思い浮かべて、「経済格差を克服する」とやった方が簡単です。
例えば、最近よく使われる「情報格差」という言葉があります。これは、都市部と地方とでは入手できる情報量に差があって、地方で暮らす人は情報技術を上手く使えないので、情報から疎外されることを言います。ほらね!「疎外」と「格差」とは同義でしょ!もっと言うと、「世界経済の片隅に追いやられる」って日本語自体が変です!これって、ドラマなんかに出てくる「大人の描いた子供の絵」みたいな感じがします。受験生がどんなに頭をひねっても「世界経済の片隅に追いやられる」なんて言葉は出てきません。これは赤本や駿台の先生が、辞書を引いて一生懸命に考えた訳語です。そうじゃなくて、もっと素直に発想して「差」から「格差」で上等だと思います。きっと、京都大学の先生達も「格差」で○をくれると思いますよ!!

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