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渋木君からの質問(その1)

<質問>
次の英文は2011年度の京都大学の長文Ⅱの下線部です。
You’ll then spend the rest of the trip (or party, or elevator ride, or date) apologizing for the emotional trauma that physics has apparently inflicted on your friend.  These random encounters often reveal an almost joyful contempt, reserved specifically for the fields of physical science and mathematics.  “Oh, I’m terrible at algebra!” is said in an almost boastful tone, in a way that “I barely even know how to read!” never would. But why?
赤本の正解はこうなってます。
あなたはその後、旅(あるいはパーティ、あるいはエレベータに乗っている間、またはデート)の残り時間を、どうやら物理学がその人に与えたであろう精神的トラウマを謝罪するのに費やすことになる。こういった偶然の出会いによってしばしば明らかになるのは、とりわけ物理学や数学の分野のために取っておかれる、ほとんどうれしそうにも思える軽蔑の念である。例えば、「私は代数学はからっきしダメでしょうねえ」という言葉は、自慢していると言って良い口調で語られる。「読み方ですらかろうじて知っている程度です」という言葉だと決してそんな言い方はしないのに。しかしこれはどうしてだろう?
先ず、, reservedはbeingが省略された付帯状況分詞構文だと思うのですが、解説では「reserved以下はjoyful contemptを修飾」となっています。「コンマ+過去分詞」は付分じゃないのですか?
そして、, in a way that~の文構造が良く分かりません。解説では「never wouldは仮定法過去。この後ろにbe saidが省略されていると考える。in a way that~は直前のin an almost boastful toneの言い換え。thatはwayを修飾する関係副詞節をつくる」となっています。もしin a way that~がin an almost boastful toneの言い換えならば、「読み方を知っていることすら、かろうじてだ!という言葉だと決して語られないような調子」が「得意げな調子」の言い換えということになってしまいます。僕にはこの2つが同じ内容の言い換えだとは思えません。分かりやすく説明してください。
<回答>
渋木君!確かに薮下は授業で「,+過去分詞」はbeingが省略された付帯状況分詞構文の可能性が高いと言いました。でも、いつもそうだとは限りません。この, reservedはただの関係代名詞の省略で、中学の時に習ったこれと同じです。
君のために取っておいたケーキがあるよ。
There is a cake [which is] reserved for you.
でも、中学の英語と違うのはコンマが付いているところです。コンマは文を一度そこで区切る働きがあるので、訳文を一度そこで終わらせる方が良いでしょう。そしてandでつなげてやって、先行詞を代名詞化したものから次の文を始めてやります。こんな具合です。
このような偶然の出会いで明らかになるのは、屈託がないと言って良いほどの軽蔑の念だ。そしてそれはとりわけ物理学や数学の分野の為に取っておかれているのである。
ま、ほとんど関係代名詞の非制限用法の訳し方と同じで良いと思ってください。あ、赤本の正解はコンマなしの訳語になってますが、そんなに大きくは減点されることはないでしょう。
次に、in a way that~ですが、これは君の言うとおりで「言い換え」と説明しちゃダメですね。なぜなら、これは「言い換え」じゃなくて「同格」なのですから。つまり、これと同じです。
マイクのお父さんであるスミス氏は、学校の先生です。
Mr. Smith, Mike’s father, is a school teacher.
だから、in an almost boastful tome=in a way thatSVなわけです。そして、ここがポイントなのですが、「同格」だと分かってることを採点官にちゃんと伝えるためには、「AすなわちB」、「AつまりB」、あるいは「BであるA」、「BというA」の訳語を必ずつけることです。こんな具合です。
例えば、「僕は代数がひどく苦手でした」と、まるで自慢している様な口調で言う。つまりその口調というのは、「何とか読み方くらいは分かる」と言うときに絶対にしない口調だ。
もちろん、赤本がやっているように、「~様な口調で言う。(そして)そんな口調では絶対に~とは言わないのに」と訳出しても良いのですが、日本語がこなれすぎていて採点しづらい答案になってしまっています。ま、これもnever wouldの直後の省略が分かってさえいれば、大きな減点はないでしょうがね。

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