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第3課 「時間の表し方」(1)時間と時制①

言葉が持っている時間を表現するための仕組みのことを、なぜ「時間」とは言わずに「時制」というのか分かりますか?答えはとっても簡単で、例えば「未来」という言葉の意味と「未来の表し方」、言い換えると「未来を表現するための仕組み」とが微妙にズレているからです。先ず、日本語でそのことを考えて見ましょう。
「時間」と「空間」は、生まれた途端にすぐに強制的に放り込まれる世の中の在り方の「形式」です。あたしらは、「時間」と「空間」に縛られていて、そこから抜け出して存在することはできません。その意味で、「時間」と「空間」はあたしらを閉じ込めている牢獄です。でも、あたしらはこの牢獄の中で生活することを当たり前だと思っているので、普段はあまり「時間」を意識しません。だから「時間」のことがよく分からないのです。
「時間」は普通、「現在」、「過去」、「未来」の3つに区別されます。今、この瞬間のことを「現在」、「現在」よりも前の部分を「過去」、「現在」よりも先の部分を「未来」と普通は考えています。もし、そんな「現在」を表現するのに「現在形」という動詞の形を使い、「過去」を表現するのに「過去形」を使い、「未来」を表現するのに「未来形」を使うのなら、「時間」と「時制」を区別する必要はありません。つまり、「日本語の時間」だけで、「日本語の時制」は考えなくても良いわけです。具体的にはこんな具合です。
Ryoは昨日東京に帰った。「過去」
Ryoはから東京に帰る。「現在」
Ryoは明日東京に帰る予定です。「未来」
でも、よく見てみると、「現在」と「未来」は両方とも動詞は「帰る」で同じです。「未来」の方には「予定です」が付いてますが、これは動詞の変化形ではなくて、「~という予定である」というただの名詞(の同格表現)です。つまり、「これがリンダです」と同じ形式で「これが予定です」と言ってるに過ぎません。ということは、日本語には「過去形」と「現在形」はあるけれど、「未来形」はないということになります。じゃあ、次のはどうでしょうか?
⊿今、Ryoは東京に帰った
⊿今、Ryoは東京に帰る
⊿今、Ryoは東京に帰るから、ちょっと待って。
「現在」が「今、この瞬間」ならは、上の3つは全部「現在」のことを言ってますから「現在形」で表現しなくちゃいけません。でも、「帰った」になったり「帰る」になったりしてますよね。これは「今」という時間と、それを表現するための形式とが一致していないということです。あ、やっぱり「過去形」と「現在形」はあるけれど、「未来形」はなさそう。
この様に見てくると、あたしらが「時間」について考えていることと、その「時間を表現する形式」とはずいぶんズレがあると分かります。言い換えると、「現在」という言葉の意味と、現在のことを表現する形式である「現在形」とは、どうも同じようにはいかないわけです。そこで仕方なく、「時間」と「時制」とを区別しようと昔の人は考えたわけです。
まとめておくと、「時制」とは、「時間」を表現するための仕組みのことです。具体的には動詞や助動詞が変形して時間を表現する仕方のことを言います。そして、日本語では「現在」も「未来」も両方とも現在形の「帰る」で表現できるので、「時間」と「時制」とは一致しないということが分かります。じゃあ、英語はどうでしょうかね?それは次回のお楽しみです。
・Linda

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