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車戸君からの質問(11)

<質問>
次の英文は京都大学2000年度の[2]の下線部訳です。 (3)In the beginning, we humans did not settle away from each other.  We did not keep to ourselves or to lonely outer borders.  We were curious, drawn to one another, comforted by our similarities and inspired by our differences. We are still that way, I think.
赤本の正解はこうなってます。
遠い昔、我々人間はお互いに離れて住むことはなかった。他人との交渉を絶ったり、人気のない辺境に立てこもったりしなかった。互いに関心が深く、引きつけられていた。人々が自分と似てる点には慰められ、異なっている点には刺激を受けた。我々は今でもまだそういうふうだと私は思う。
そして、解説によると、下線部の構文は「We were A, B, C and Dと補語が並列に並べられている形」だと説明しています。でも、We were curiousとWe were drawn to one anotherは同じことを言っているので、並列ではなく同格だし、後半のandは前後に「過去分詞+by our名詞」という形が出てくるので、僕にはA、B、C、Dが4つとも並列だとは思えません。薮下先生の考えを聞かせてください。
<回答>
車戸君!久しぶりの質問、とても嬉しく思います。今は「やり直しの英文法」を連載しているので、この手の質問はグッと少なくなっていて寂しい思いをしていましたからね。ま、薮下も、赤本の解説にケチを付けるのが薮下の趣味(趣味)だと思われたくないのですが、質問をされたらそれに応えなくてはなりませんね。
この英語は次のように書き換えることができます。 We were curious, in other words, drawn to one another, and found that we were comforted by our similarities and inspired by our differences.
つまり、最初のコンマ(,)は車戸君の言うとおり同格で、, [being] comforted~や, [being] inspired~は「・・・して、そして(その結果)~」の意味の付帯状況分詞構文です。だから、正解はこうなります。
人間は[他人が] 気になっていた、つまり、お互いに惹かれ合っていたのだ。そして(その結果)人に自分と似ている点があれば安心し、違う点があれば刺激になった。
可笑しいのは、赤本の訳語も We were A, B, C, and Dの並列関係としては訳出していない点です。だって、「互いに関心が深く、引きつけられていた」で文を終わらせているってことは、AとBが1つの論理セットで、CとDはそれとは別の論理セットだと自分で認めているようなものですからね。つまり、このままでは正解の訳語と解説とが矛盾してしまっているわけです。それにしても、赤本の解説者は皆、どうして胸を張ってこんな大ウソがつけるのでしょうかね?!本当に受験生をバカにしています。
ま、厳密に言うと、同格も並列関係の1つだと逃げることはできたのですが、We were A, B, C and Dと言い切ってしまっているのでその逃げ道を自分でふさいでしまってます。車戸君!君はなかなか冴えてますね。赤本の解説者を君は超えてしまってます。この分では京大も楽勝ですね。

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