第1課 「単語」(30)ETの法則
「やり直しの英文法」の30回目です。今回は名詞の後ろに付く限定用法をまとめておきます。ところで、1980年代に公開されたアメリカのSF映画で、ET(Extra-Terrestrial)というのがあります。これに出てくる宇宙人はとっても頭がデカいので重心が高く、ものすごく不安定な体型をしています。そこで、ETと同じように文頭のボリュームが大きくて、不安定な英文をETタイプと呼んでいます。あ、薮下が勝手にそう言っているだけです。英語はこのETタイプの英文を極端に嫌います。文頭が重たいときは、語順を替えてでも文頭を軽くしようとします。この英語の性質を「ETの法則」と言います。前にも書きましたが、形式主語や倒置構文もこの法則で説明できます。
今まで勉強してきた形容詞の限定用法も、この「ETの法則」に従います。つまり、2語以上の長い飾りは名詞の前ではなく後ろにオマケの修飾語としてひっつくわけです。今までの限定用法でETタイプの英文をまとめておきます。
⊿僕には難しすぎる本(2語以上の形容詞)
a book too difficult for me
⊿今日読む予定の本 (不定詞の形容詞用法)
a book to read today
⊿日本を扱っている本 (現在分詞の形容詞用法)
a book dealing with Japan
⊿英語で書かれた本 (過去分詞の形容詞用法)
a book written in English
⊿机の上の本 (前置詞句の形容詞用法)
a book on the desk
これに関係代名詞を加えた6つがETタイプの後置修飾の全てです。
⊿父が僕に買ってくれた本(関係代名詞が導く形容詞節)
a book which Father bought for me
そこで、英語を読むときにこの6つのタイプが出てきたら、飾りの最初と最後にスラッシュ(/)を入れて飾りを浮き立たせます。そうすると英語が大分読みやすくなります。英語が読みにくいのは、日本語はその全く逆だからです。つまり、あらゆる形容詞が名詞の前につくからです。こんな具合です。
⊿石けんで足を滑らせて湯船の角で頭をぶつけて気を失ったおじさん
a man / who slipped on the soap, fell onto the eddge of the bathtub, and lost consciousness//
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2 Comments
初めて質問させてもらうものです。
もし質問内容が先のやり文講義と重なっていたらすみません。
先日,ある講義で(動詞)+<副詞>のイディオムのとき目的語に代名詞をとると(動詞)と<副詞>の間に目的語が入り,ひとまとまりになる(pick A upみたいな感じです)と聞きました。これもETの法則と何か関係があるのでしょうか?また,逆になぜ代名詞以外だと語順が変わらないのでしょうか?
ひょっとしたらこの講の内容との関連性はない質問かもしれませんが,お願いします。
土鍋君!初投稿を歓迎します。これは君の言うとおりで、句動詞(群動詞)の「他動詞+副詞」の間に代名詞が割り込むのも「ETの法則」です。そのことを人から教わるのではなく自分で気がつくなんて、君はなかなか鋭いですね!
⊿これを持ち上げるのを手伝って!
Please help me to pick up these things.
pick upは「持ち上げる」の意味の句動詞です。目的語がちゃんとした名詞のthese thingsなら、お尻が重たいので文が安定します。でもthese thingsをthemにすると、代名詞はthese thingsに比べると軽いので、お尻が軽くなって文が安定しません。そこで他動詞と副詞の間にthemを割り込ませて「他動詞+代名詞+副詞」の大きな塊にします。こんな具合です。
⊿これを持ち上げるのを手伝って。
Please help me to pick them up.
こうすることで、お尻が重たくなって文が安定するわけです。でも、次の英文が間違っているワケではありません。
⊿これを持ち上げるのを手伝って。
Please help me to pick these things up.
これも「他動詞+名詞+副詞」の大きな塊がお尻にあるので、文が安定するには違いないのです。でも、次の英語はお尻が軽くて安定しないわけですね。
⊿これを持ち上げるのを手伝って。
Please help me to pick up them.(×)
実は、このことについては「英語の読み方」のここ(http://blog.meigaku.ac.jp/yabu/?p=5459)で一度書いてます。薮下の反省点は、同じ文法事項についてあっちで書いたりこっちで書いたりしていて、まとまりが付かなくなって来ていることです。場合によっては、あっちでは書いたけど、こっちでは書いてないということも起こってます。土鍋君が指摘してくれたことはまさにこのことです。やっぱり「英語の読み方」にもちゃんと「目次」を用意しておかないといけないわけですね。よし!がんばろう。
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