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マーカ抽出法講義(15)

マーカ抽出法講義の第15回目です。前から南山大学の外国語学部の長文をマーカ抽出法を使って解いています。今回はマーカがヒットしない場合の対応を勉強しましょう。
3.What did the woman think of the color of the chair?
① She found it was a perfect color for the living room.
② She was disappointed at the peculiar color.
③ She couldn’t understand why the color was unpopular.
④ She thought it would go very well with the fireplace.
マーカになりそうな名詞はthe color of the chairだけです。設問2の根拠文が第4段落の最終文でしたから、第5段落から読み進みます。すると、第6段落の第2文でマーカがヒットします。
¶6  This chair, however, would not only suit me―a great reader―it would suit the house as well.  Its color perfectly matched the aged brick of the fireplace in the living room, and as I said, it was small in size.
その色は居間の暖炉の古いレンガにぴったりだった。
①その色は居間にはピッタリの色だと思った。
②その変な色に彼女はガッカリした。
③その色がなぜ人気がないのか分からなかった。
④その色は暖炉にピッタリ合うと思った。
これもmatch=go withの「同じ表現どうしの置き換え」ですね。さて、問題は次の設問4です。こんな具合です。
4.Why was the chair returned to the store again and again.
① The owner of the store didn’t tell the true story about it.
② The person who had bought it lost interest.
③ The brick-red color made the purchaser gloomy.
④ There was nothing the color harmonized with.
「なぜその椅子は何度も店に戻ってきたのか」ですから、確定要素はwhy以外のthe chair returned to the store again and againです。でも、どこを探してもそんな英語は見つかりません。そんなときはその設問をスッパリと諦めて次の設問に進みましょう。え?何てことをするんだって?いえいえ、決してこの設問を放棄したわけではありません。ま、見ていてください。ちょっと後ろ髪を引かれる気分かも知れませんが、設問5に進みましょう。ここでも「確定要素」をザックリと抽出します。「彼の妻がその椅子を購入したことに対して、ロイはどの様に反応したか?」ですから、「ロイが椅子を購入したことに反応した」ことは確かですよね。
5.How did Rob react to his wife’s purchase of the chair?
① He really wanted to know its price.
② He was totally indifferent to the chair.
③ He was overjoyed to find the chair in the room.
④ He showed approval in a modest manner.
さて、「確定要素」だけでも、ロイの反応が述べられている段落を特定することができます。その段落を丁寧に読めば根拠文にたどり着くことができるでしょう。でも、ちょっとしたコツを知っていれば、誤った選択肢を前もってはじき出すことができます。例えば②のtotallyです。天才か愚者じゃない限り、人は「Aは完全にBだ」とか「AはすべてBだ」などと断定することはできません。どんなものにも例外はありますから「AはBかもしれない」とか「AはBだと言っても良いだろう」などとボカすのが普通です。ま、他人の批判をかわすのが一番の目的なのでしょうがね。だから②のtotally(完全に)は間違っていると考えても良いわけです。
もう1つ覚えておくと良いのは「内容が真逆の2つの選択肢は、そのうちのどちらかが正解である」ということです。ここでは③と④がそれに当たります。つまり、ロイは椅子に肯定的な(+)反応を示したのだけれど、③は大げさに「大喜び」したのに対して、④は「控えめなやり方」だったわけです。だから、③か④のどちらかが正解!あ、この様に心情問題では選択肢のイメージをプラス(+)とマイナス(-)に分類するのも有効な方法です。喜んでいればプラスで悲しんでればマイナス、容認していればプラスで拒絶してればマイナス、という具合です。
また、いくら物語文の具体性が高いと言っても、「登場人物の心情」を問う設問は漠然としていて、根拠文を特定しづらいことがあります。そんな時には、各選択肢からマーカを抽出しておくと根拠文を見つけ易くなります。例えば、①からはpriceを、②からはindifferentをマーカとして抽出しておきます。こんな具合です。
¶12  When Rob walked through the door that evening, he acted as if he were indifferent to my new purchase.  There in front of the wall of packing boxes in our rented house was the lady’s reading chair.
¶13  He circled the chair, then sat down and leaned back.  I held my breath. “It’s comfortable,” he declared.  “I like it.”  To my amazement, he neither questioned me about the price nor made any comment about need.
マーカが第12段落でヒットします。ま、reactとactの違いはありますが、「新しく購入した物に対する振る舞い」ですから同じだと考えて良いでしょう。それに、選択肢②のマーカ、indifferentもヒットします。だから、これが②の正誤を判断する根拠文になりそうです。一見すると全く同じ内容なので、正解のような気がします。でも、良く見るとas ifが付いてますよね。と言うことは、これは仮定法ですから、実際とは逆のことを言っているわけです。つまり、「彼はまるで牛のように飯を食う」と言うとき実際には「彼は牛」じゃありません。仮定法の文には十分な注意が必要ですね。それにtotallyという「完全肯定」の副詞がついているので正解にはなりません。
選択肢①に戻りましょう。マーカにしたpriceが第13段落でヒットします。普通は根拠文が2つの段落にまたがることはないのですが、外国語学部の長文ではちょくちょく起こります。だから、各設問毎にマーカを設定しておくと安心なわけです。本文では「ロイは椅子の値段を尋ねることも、椅子の必要性にコメントすることもなかった」とあるので、①「何としても値段を知りたかった」は間違い。
やっぱり残ったのが内容が対立する③と④です。けれども、③大げさに「大喜び」をしたのか、④「控えめなやり方」だったのかを判断するこれと言った根拠文は見つかりません。だから、設問5は第12、13段落全体から判断するしかない。登場人物の心情を問うとこうなることが多いと思ってください。でも、「あたかも無関心であるかのように振る舞い」「気に入ったよ」とは言うけれど「値段も必要性も問わない」のは、どう考えても「大喜び」したとは考えられませんよね。だから④が正解。
設問4をスキップしたままですが、今日はここまでにしておきます。

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