マーカ抽出法講義(10)
マーカ抽出法講義の第10回目です。TOEICの「Reading Section」での「マーカ抽出法」の使い方を勉強して来ましたが、後は「語彙問題」と「要約問題」が残ってましたね。「語彙問題」は知識問題ですから「頑張って覚えて!」としか言いようがありません。一方、「要約問題」は「マーカ抽出法」を使わないと時間が結構かかりそうです。前にも書きましたが、設問の英語は短いので何回読んでもかまいませんが、本文は1度しか読まないという覚悟が必要です。この「要約問題」こそ、そのことがバッチリ当てはまります。ここで本文の英語を何回も読み返していては確実に時間が足りなくなります。TOEICで失敗する子はここに時間がかかりすぎているんじゃないのでしょうかね。
ここで大切なのは、本文の内容と一致する選択肢が6つの内に3つあることです。つまり、これも一種の「内容一致問題」なのですよ!そして、先ずは本文の内容と一致しない3つの選択肢をはじいてしまいます。そして、残りの3つを文脈に沿って並べてゆくという戦略です。
Directions: An introductory sentence for a brief summary of the passage is provided below.
Complete the summary by selecting the THREE answer choices that express the most important ideas in the passage. Some sentences do not belong in the summary because they express ideas that are not presented in the passage or are minor ideas in the passage.
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Teotihuacan was a highly developed city in Mesoamerica that reached its peak between about A.D. 150 and 700.
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そのためには先ず、6つの選択肢からそれぞれマーカを抽出します。そのときに気をつけることは、選択肢1つ1つが当該段落の要約になっているのだから、それぞれの段落の「話題」になっている名詞を抽出しなくてはなりません。「話題」は、「トピック」とか「テーマ」などと言い換えられることがありますが、要は著者の主張が書かれている文に出てくる、著者がそこで取り上げている「話題」です。例えば、著者が「イモトアヤコは美人だ!」と言いたいのであれば、「テーマ」は「イモトアヤコ」なわけです。では、そのことを頭に置いて、選択肢からマーカを抽出します。そして、マーカを抽出しながら、その「話題」はどの段落で扱われていたかを考えます。
(A) The number and sophistication of the architectural, administrative, commercial, and religious features of Teotihuacan indicate the existence of centralized planning and control.
和訳すると「建築、行政、商業、宗教の分野で見られる数々の高度なテオチワカンの特質を見れば、中央集権的な都市計画や管理があったことがうかがえる」くらいでしょうかね。名詞はたくさん出てきますが、大切なのは著者がそのことについて主張を述べている、というときの「そのこと」です。これが「話題」でしたね。ここで著者は、「テオチワカンには中央集権的な企画や管理があった!」と言いたいわけですから、「話題」は「中央集権的な都市計画と管理(centralized planning and control)」だからそれをマーカにしてやります。
(B) Teotihuacan may have developed its own specific local religion as a result of the cultural advances made possible by the city’s great prosperity.
和訳すると「町の大いなる繁栄によってもたらされた文化的発展の結果、テオチワカンでは独自の土着宗教が現れた」くらいでしょうかね。著者の主張は「テオチワカンには独自の土着宗教があった」ですから、マーカは「独自の土着宗教( its own specific local religion)」が適当でしょう。少しコツが分かってきましたか?
(C) Several factors may account for Teotihuacan’s extraordinary development, including its location, rich natural resources, irrigation potential, intelligent elite, and the misfortune of rival communities.
和訳すると「いくつかの要因がテオチワカンの驚くべき発展の原因となったようだ。その要因には、地理的な位置、豊富な天然資源、灌漑の将来性、頭の良いエリート住民、そして対抗勢力の運の悪さなどが考えられる」となります。ここで著者が「話題」にしているのは、「テオチワカンの驚くべき発展の原因」ですから、「Teotihuacan’s extraordinary development」をマーカにします。
(D) As a result of its large number of religious shrines, by the first century A.D., Teotihuacan became the most influential religious center in all of Mesoamerica.
和訳すると「紀元1世紀までに、テオチワカンには膨大な数の神社があったので、町はメソアメリカ中で一番影響力のある聖地となった」くらいでしょうか。ここでの「話題」は「膨大な数の神社(large number of religious shrines)」。
(E) In many important areas, from the obsidian industry to religious tourism, Teotihuacan’s success and prosperity typified the classic positive feedback cycle.
これは和訳しにくいですね。「たくさんの主立った分野の中で、黒曜石の加工場やら聖地巡礼やらのテオチワカンの成功や繁栄は、それぞれの成功が相乗効果をもたらした典型的な好循環の特徴を示している」としておきます。このpositive feedback cycleはpositive feedback loopとも言って、「悪循環」の反対の「好循環」くらいの意味で使います。IT関連の文献に良く出てくる表現で、「絶対的フィードバック経路」と訳されることがあるみたいですが、これでは意味不明です。ま、著者が主張したかったのは「テオチワカンの成功や繁栄は典型的な好循環(the classic positive feedback cycle)だった」ですから、マーカはthe classic positive feedback cycle。
(F) Although many immigrants settled in Teotihuacan between A.D. 150 and 700, the increasing threat of coerced labor discouraged further settlement and limited Teotihuacan’s population growth.
和訳すると「紀元150年から700年の間に多くの移民たちがテオチワカンに定住したのだが、強制労働をさせられる恐れが次第に高まったので、入植者はそれ以上は増えず、テオチワカンの人口増加に歯止めが掛かった」くらいになります。でも、これは一読して間違いだとわかります。だって、テオチワカンの衰退の話題なんてどこにも書いてなかったですからね。続きは次回にしましょう。
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yabu. Posted on
月曜日, 12月 30, 2013, at 5:25 PM. Filed under
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2 Comments
とても単純なことなんですけどお願いします。英訳で「僕が君の立場なら、すぐにそうするんだけど」を僕は「If I were in your position, I would do that right now」にしたのですが、答えが「if I were in your position, I would do it right now」でした。
また、同じ英訳なのですが、「もっと長くいることができたらなぁ」を僕は「I wished I could have stayed longer」としたのですが、答えが「I wished I could stayed longer」となっていました。
この2つで僕の答えが何処かいけなかったから教えてください。
スパーズ君!返信が遅くなってごめんなさい。年末でちょっとバタバタしています。まず、I would do itもI would do thatもほとんど意味が変わりません。どっちでもOKです。そして、「もっと長くいることができたらなあ」ですが、思っているのが今、内容も今なら仮定法過去、思っているのが今、内容が昔なら仮定法過去完了になります。こんな具合です。
①もっと長くいたいなあ、と今思っている。
I wish I could stay longer.
②あの時もっと長くいたかったなあ、と今思っている。
I wish I could have stayed longer.
そして、文法の理論上、「思っているのは昔で内容も昔」と、「思っているのが昔で内容がそれよりも古い大昔」の2つが考えられます。こんな具合です。
③もっと長くいたかったなあ、とあの時思った。
I wished I could stay longer.
④もっと長くいたかったなあ、とあの時思った。
I wished I could have stayed longer.
日本語の訳語を見ても分かるように、この2つは日本語では区別がつきません。でも、英語では時間のズレが表現できてますよね。これはあくまでも文法の理論上のお話で、実際にはこの通りは使いません。だって、「もっと長くいることができたらなあ」だけではこの4つのパターンのうちのどれかが判然としません。もっとハッキリと「今ここにもっと長くいることができるといいのにな」とか「あの時あそこにもっと長くいることができたらよかったのになあ」などと書かないと分からないわけです。この4つのパターンを簡略化するとこうなります。
①「そうなるといいなあ」と「今思っている」(今-今)
②「そうなったら良かったのに」と「今思ってる」(昔-今)
③「そうなったいいなあ」と「あの時思っていた」(昔-昔)
④「そうなったらよかったのに」と「あの時思っていた」(大昔-昔)
結論としては、英作の問題文自体がもともと曖昧なのだから、スパーズ君の書いた④も正解、解答集の③も正解、ということになりそうです。
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