マーカ抽出法講義(9)
マーカ抽出法講義の第9回目です。今まではTOEICの「Reading Section」から「マーカ抽出法」を使って解ける「内容一致問題」ばかりを見てきましたが、今日はそれ以外の問題、「文補充問題」の解き方を考えます。ここでは普通、「マーカ抽出法」は使わないのですが、それを使ったちょっとしたコツを教えてあげます。
「文補充問題」は赤色の文を(A)~(D)のどこに入れ込めば文意が通るかを判断する問題です。こんな具合です。
In paragraph 1 of the passage, there is a missing sentence. The paragraph is repeated below and shows four letters (A, B, C, and D) that indicate where the following sentence could be added.
In fact, artifacts and pottery from Teotihuacan have been discovered in sites as far away as the Mayan lowlands, the Guatemalan highlands, northern Mexico, and the Gulf Coast of Mexico.
Where would the sentence best fit?
The city of Teotihuacan, which lay about 50 kilometers northeast of modern-day Mexico City, began its growth by 200 –100 B.C. At its height, between about A.D. 150 and 700, it probably had a population of more than 125,000 people and covered at least 20 square kilometers. (A) It had over 2,000 apartment complexes, a great market, a large number of industrial workshops, an administrative center, a number of massive religious edifices, and a regular grid pattern of streets and buildings. (B) Clearly, much planning and central control were involved in the expansion and ordering of this great metropolis. (C) Moreover, the city had economic and perhaps religious contacts with most parts of Mesoamerica (modern Central America and Mexico). (D)
(A) Option A
(B) Option B
(C) Option C
(D) Option D
これは本来は英語のロジック(論理展開)を見抜く問題です。赤色文の冒頭にあるIn factは「追加の論理語」ですから、今話題になっていることに対する事実を付け加えて、自分の主張を補強します。つまり、In factの前には著者の主張が抽象的な文体で描かれていて、それを補完する事実がIn factの後にあるわけです。だから赤色文をどこに挿入したらよいのかが分かります。
これも、無理矢理「マーカ抽出法」を使おうと思えば使えます。最初にIn factの後ろの事実文からマーカを抽出しておきます。事実文は具体性が高いので、たくさんの固有名詞が出てきてますからね。だから、マーカには事欠きません。ここでは4つの名詞をマーカにしても良いのですが、副詞をザックリと抽出しておきました。だって、「マヤ低地、ガテマラ高地、メキシコ北部、それにメキシコ湾岸くらい遠く離れた所でも」で重要なのは「そのくらい遠く離れている」ということですからね。こう言うのを「確定要素」と呼びます。場所、時間や条件から確定要素をマーカとして抽出しておくと、根拠文がとても見つけやすくなります。
In fact, artifacts and pottery from Teotihuacan have been discovered in sites as far away as the Mayan lowlands, the Guatemalan highlands, northern Mexico, and the Gulf Coast of Mexico.
次に、そのマーカを探しながら第1段落の英語を読んでみます。
The city of Teotihuacan, which lay about 50 kilometers northeast of modern-day Mexico City, began its growth by 200 –100 B.C. At its height, between about A.D. 150 and 700, it probably had a population of more than 125,000 people and covered at least 20 square kilometers. (A) It had over 2,000 apartment complexes, a great market, a large number of industrial workshops, an administrative center, a number of massive religious edifices, and a regular grid pattern of streets and buildings. (B) Clearly, much planning and central control were involved in the expansion and ordering of this great metropolis. (C) Moreover, the city had economic and perhaps religious contacts with most parts of Mesoamerica (modern Central America and Mexico). (D)
すると、一番最初の文と一番最後の部分でマーカがヒットします。マーカ文を読んでみると、最初のは「テオチワカンの町はメキシコシティーの北西50キロのところにある」とあり、最後のは「この町は経済的にも、おそらく宗教的にも、メソアメリカ地方の大部分(今の中央アメリカやメキシコ)と交流があった」と書いてあります。挿入文は「テオチワカンから遠く離れた場所からもそこの芸術品や陶器が出土する」なので、「交流があった」の(D)を選んでやります。
ここでもう一度ビートたけし氏の言葉を思い出して欲しいのですが、彼の言うには勉強のコツは力の入れ方と抜き方です。薮下もまったくその通りだと思います。英文を読むときにも、問題文すべてを全力で読む必要はないのです。いや、逆に問題文に共感したり感動したりしていたら、設問なんて解けません!志望校に落ちてくる子の中にはよく「問題文は読めたのだけれども、設問には上手く答えられなかった」という子がいますが、こういう場合は得てして問題文に感動してのめり込んでしまい、設問の方に意識が向いていないことが多いのです。問題文はもっとクールに読まなくちゃなりません。
設問に意識を集中して、どこに力を入れて読んだら良いのかを教えてくれるのが「マーカ抽出法」です。これを上手く使えば、リズム良く英文を読むことができます。設問に関係のない情報はパパッと読み飛ばし、マーカ文が出てきたらスピードを落とし、根拠文をじっくり読み込むわけですね。でも、「マーカ抽出法」を魔法の解法だと思っている子がいたら、それは大きな間違いですよ!
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This was written by
yabu. Posted on
日曜日, 12月 29, 2013, at 1:56 PM. Filed under
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2 Comments
少し前からこのサイトのいろいろなページを拝読しております。
このページは最終更新じゃないのでここに書き込んで気づいていただけるかどうか分かりませんが、
このページを見ていて思ったことなので、ここで質問します。
今回の問題の場合、このような解き方ができるのではないかと思いました。
これがいつどんな問題でも通用できるわけじゃないでしょうが、いかがでしょうか。
↓↓↓↓
設問の方の欠落文に”In fact”という論理の流れを示す接続詞(?)が入っているので、
欠落部直前の文で推測や意見を表す、助動詞will,may,must,cannotや副詞probably,perhaps、
動詞のthink,supposeやseem,appearなどの単語が入っていると推測し、それらをマーカーとして文を読んでいくと、
最初と最後の方の
“…and 700, it ‘probably’ had a population of more than…”と
“…the city had economic and ‘perhaps’ religious contacts with…”
がヒットし
それぞれの単語が修飾している(推論を示す)部分を見て
①probably →”had (a population…)”
②perhaps →”had (religious contacts…)”
とおく。
この時、欠落文が示す事実や具体例も、欠落部直前の文も言いたいことは同じ(主張は形式を変えて繰り返される)という現代文のロジックを使って、
欠落文が①,②のどちらの推論を支持しているか考え、
直前の文を”Moreover, …. Mexico.”に特定し
(D)を選択。
SNOWMANさん!「抽象的主張文→In fact→具体的裏付け」を「現代文のロジック」と同じだと見抜いてるところなんかはさすがです。結局、空所に何かを補うことが出来るのは、空所とその前後文との関係が「同格」か「逆接」か「順接」かのどれかじゃないといけないわけですからね。だから、SNOWMANさんの言う通りで「マーカ抽出法」は「英語のロジック」と組み合わせると効果が倍増します。じつは、4月には公表しようと思っているのですが、この「マーカ抽出法」と南山大公開単科ゼミ時代に作った「これだけ英文法」のおかげで、今年南山大学に名古屋高校から180人の子が合格しました。彼らの言うには、「マーカ抽出法は非公開にしないといけない。他の学校の子を賢くするのは間違ってはいないか?」ということでした。ですから、4月中には「マーカ抽出法」をブログから下ろすことになりそうです。皆が英語を勉強する場としての「薮研」というのは、ちょっと難しくなってきました。
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