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マーカ抽出法講義(2)

マーカ抽出法講義の2回目です。今日は、実際に問題を解きながら、マーカ抽出法をどう使うのかを説明しましょう。先ず、本文の英語を読む前に、設問の英語を見ます。
ア Bob’s wife was beginning to forget something important.
イ A lot of pictures were put on the wall to help Bob.
ウ  Bob forgot about the pictures his wife and children took.
エ It was useful for Bob to write things on a piece of paper.
オ Bob decided to draw a picture of a cake on his left hand.
カ Bob wrote what to buy on his gloves when he went shopping.
キ  Bob’s family enjoyed making a cake for Kate’s birthday party.
英語の先生の中には、「設問の選択肢から先に見ると、変な先入観を持ってしまうので、正解にたどり着けないことがある」と言う人がいますが、そこまでバカな子はいないんじゃないでしょうかね。それに、マーカとして抽出するのは基本的に「名詞」です。そして、作問委員の先生がどんなに巧妙に選択肢を作っても、「名詞」ではウソがつけません!つまり、「チビまる子」ちゃんに「サザエさん」は登場しないのですよ。
例えば、選択肢のですが、「ボブの奥さんが忘れっぽくなり始めた」かどうかは分かりません。別の人が忘れっぽくなり始めた可能性が残ります。でも、必ず「ボブの奥さん」が登場するということです。本文の英語が具体性の高い物語文であればあるほど「名詞」ではウソがつけません。だから、マーカ(根拠文を見つけるための目印)として一番良いのが名詞なのです。マーカは色を付けるなどをして目立たせておきましょう。こんな具合です。
ア Bob’s wife was beginning to forget something important.
本当は、選択肢のキまで全部見て、マーカを先に抽出するのですが、今は解説ですから、選択肢からマーカを抽出したことにして本文を見てみましょう。
¶1 Bob was beginning to forget things.  One day when he went shopping, he forgot what to buy.  He often forgot about his keys, his umbrella, or money when he left home.  His wife Kate and his children worried about him.  So they decided to take some pictures of things Bob forgot, and put them on the wall in their living room.  Bob sometimes could not remember people’s names.  So they put a lot of pictures of people with their names on the wall.  At night, Bob and his family enjoyed talking about the pictures on the wall in their living room.
本文は最初からちゃんと読んでゆきます。前に学校でやった講座では、マーカだけを探しながら目を素早く動かすというサーカスをやりましたが、あれはただのパフォーマンスです。でも、あと5分しか残っていないのに、長文が丸一題残っているようなときにはあの方法もありですがね。
すると、下線の赤い部分にマーカが出てきます。「彼の奥さんのケイトや彼の子供達は、彼のことを心配していた」とあります。選択肢の内容と比べると、ずいぶん変ですね。だって、ボブの奥さんが忘れっぽくなったのなら、皆はボブの奥さんのこと心配しないといけません。なのに、「ボブの奥さん心配していた」と書いてあります。そこで、前の文を読んでみると、「彼(ボブ)がよく鍵や傘やお金を忘れる」と書いてあります。結局、これが根拠文になって、アが本文の内容とは一致しないと判断できるわけです。
ここが大切なのですが、選択肢の英語が間違っている場合は、その箇所を正しく訂正するクセをつけてください。こんな具合です。
×ア Bob’s wife was beginning to forget something important.
・・・・Bob
次に、選択肢のイからマーカを抽出してみましょう。
イ A lot of pictures were put on the wall to help Bob.
マーカは1つじゃないといけないわけじゃありません。2つ以上の名詞をマーカとして抽出してもかまいませんよ。ここでは試しにマーカを2つ抜き出してみました。「たくさんの写真をボブの助けになるように壁に貼った」かどうかは分かりませんが、「たくさんの写真」が登場することは間違いありません。そう思って本文を読んで行きます。すると、ちゃんとマーカがヒットしますよ!
¶1 Bob was beginning to forget things.  One day when he went shopping, he forgot what to buy.  He often forgot about his keys, his umbrella, or money when he left home.  His wife Kate and his children worried about him.  So they decided to take some pictures of things Bob forgot, and put him on the wall in their living room.  Bob sometimes could not remember people’s names.  So they put a lot of pictures of people with their names on the wall.  At night, Bob and his family enjoyed talking about the pictures on the wall in their living room.
あ、この「A so B」はとても重要な英語のロジック(論理展開)です。高校入試までは「B because A」でしたが、大学入試では圧倒的に「A so B」や「A therefore B」がたくさん出てきます。どちらもBが主張でAがその理由なのですが、AとBの位置が逆になっているのがポイントです。どんな文章でも、主張とその理由は大切ですから、よくこの2つが狙われます。
さて、マーカがヒットした英文で「たくさんの写真を壁に貼った」ことは確認できるのですが、「ボブを助けるために」かどうかがハッキリしません。ここでさっきの「A so B」が効いてきます。Aを読むと「時々人の名前を思い出せない」とあるので、「ボブが人の名前を忘れないのに役立つように」が「ボブの助けになるように」の意味だと分かります。だからイは正解だと判断できます。ね!正解ってヌルッとしてるでしょ?!なぜなら、具体的な部分が切り落とされて抽象的なところだけが残っているからです。だから正解の選択肢は、まるで「毛を刈られた羊」のような感じがするのです。これ、ポイントです。続きは次回にしましょう。

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