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車戸くんからの質問

<質問>
僕の和訳を添削してくだされば幸いです。
“Lefties die young” was the title of an editorial in a newspaper in 2001.  It is a popular myth, and is almost certainly wrong, but that has not stopped it enjoying wide and continuing popularity.(群馬大)
「左利きは早死にする」というのが、2001年に発刊されたある新聞の社説のタイトルだった。それは一般的な都市伝説で、そしてほとんど確かに間違っているが、それが広く享受されず、評判が続かなかったということではないのだ。
<回答>
車戸くん!今日はどうしても医者に行かなきゃならなかったので授業後に会えませんでした。ごめんなさい。君が薮研を見てくれるかどうかわかりませんが、この場を使って説明をします。
まず、君がmythを「神話」と訳出しなかったのは大したものです!「左利きは早死にする」は、どう考えても「神話」じゃないよね!でも、そんなことはお構いなくmythを神話と訳す子が結構います。これは君がちゃんと全体を見てmythの訳語を考えたと言うことです。正解にある「俗説」よりも薮下は良い訳だと思います。
次に、It is a popular myth, and is~の「コンマ(,)」は不要です。いや、あってはおかしな英語になります。andが結んでいるのはis a popular mythとis almost certainly wrongでItが共通の主語なのですから、andが結ぶこの2つの要素をコンマで区切ってはいけません。and、but、orの直前にコンマを置くと文はそこで分断さ、そこまでのとは全く別の文がそこから始まることを匂わせます。れこれは河合出版の問題集の英語でしたよね?このコンマはおそらくオリジナルの英文にはなかったんじゃないかと思います。多分、群馬大が河合塾の編集者が入れたのでしょうね。まったく変な英語です。
さて、君の訳語ですが、「それは一般的な都市伝説で、そしてほとんど確かに間違っている」で十分OKです。「一般的」とは「一般社会に広まっている」の意味だろうし、「ほとんど確かに間違っている」とは「ほぼ確実に間違っている」のことだと分かります。でも、欲を言えば普段使う日本語で訳出する方が良いと思います。僕らはいつもは「一般社会に広まっている」なんて言いませんよね。それよりも「皆がよく知っている」の方がピント来ます。
そして、気になるのが, but that has not stopped it~の訳語です。薮研の「英語の読み方」の所でもやったのですが、and、but、orが出てきたら、直後に注目して直前に同じ形(機能語句)を探します。このbutの直後に注目するとthat が来てますよね、でも直前にthatを探しても見つかりません。と言うことは、このbutは2つのthatを結んでいるのではなくて、thatは新しい文の主語だと分かります。あ、andやbutが2つのthatを結ぶというのはこんなやつです。
トムは急用があって、彼らの所を訪問しなくちゃならないと言った。
Tom said that there was urgent business and that he had to call on them.
この群馬大の問題の1つのポイントがこのthatとその後ろのitをちゃんと具体的に訳出できるかどうかです。先ずは全体を読んでみると「そのこと(that)はそれ(it)が広く継続的な流行を享受することを妨げない」と書いてあります。広く普及してずっと人気が出るのは「都市伝説」だろうから、itはthe mythだと分かります。それを妨げるのがthatというわけですから、マイナス要素を探してみると「その都市伝説がほぼ確実に間違っていること」だけしかありません。さっきのやつにthatとitの具体的内容を代入すると直訳の答案ができあがります。
「その都市伝説がほぼ確実に間違っていることは、その都市伝説が広く継続的な流行を享受することを妨げない」
ま、これでも×にはならないのですが、日本語がちょっと壊れてますよね。原因は次の様な点です。
①モノ主語であること
②名詞表現が多用されていること
③enjoyの「享受する」がちょっと変なこと
まず、③ですが、これは「享受する」よりも「良いことがある・起こる」とか「良いものを持っている・受ける」の方が日本語的です。
彼は高収入を享受している
=あいつは相当な収入がある
He enjoys a good income.
彼女は友人の信頼を享受している
=彼女は友人から信頼を受けている
She enjoys the confidence of her friends.
「流行がある・起こる」は「流行する」で良いでしょう。そして、②ですが、これは解説にもあるように「形容詞+名詞」が大好きな英語はそのままではちょっと変な日本語になります。そんなときはに「副詞+動詞」に変えてやるとカッコ良くなります。
広くて継続的な流行(形容詞+名詞)
=その後ずっとあちこちで流行する(副詞+動詞)
wide and continuing popularity
最後に①のモノ主語ですが、理由・原因の副詞に変えてやると良くなります。こんな具合です。これで意訳が完成します。
「その都市伝説がほぼ確実に間違っているからと言って、それがその後もずっとあちこちで流行するようなことがなくなってしまったわけじゃありません」
さて、君の答案ですが、「それが広く享受されず、評判が続かなかったということではないのだ」には主語のthatの訳語がありません。そして、他の訳語も無難なのですが英文の構造が分からなくなってしまってます。こうなると、採点官によってはこの部分の得点を0点にしてしまう場合もあります。それよりも、まだ直訳のままの方が良いと思います。

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