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夏のアブラゼミ 第17日目 A of Bを超キレイに訳出するには⑧

「夏のアブラゼミ」の17日目です。今日で夏休みも最後ですね。宿題に追われている子がたくさんいるとは思いますが、「夏のアブラゼミ」もやっておいてくださいね!さて、今日は大阪大学の下線部に出てくる of について考えて見ましょう。予習はちゃんとしましたか?
【問題】
 As a beginning we should try to clarify our thinking by looking, in some historical depth, at the presuppositions that underlie modern technology and science.  Science was traditionally aristocratic, speculative, intellectual in intent; technology was lower-class, empirical, action-oriented.  The quite sudden fusion of these two, towards the middle of the nineteenth century, is surely related to the slightly prior and contemporary democratic revolutions which, by reducing social barriers, tended to assert a functional unity of brain and hand.  Our ecological crisis is the product of an emerging, entirely novel, democratic culture.  The issue is whether a democratized world can survive its own implications.  Presumably we cannot unless we rethink our axioms.
<大阪大学>
【解説】
quite sudden fusion of these twoを「これら2つ極めて突然の融合」と和訳しても良いのですが、A of BのAが動詞由来のfusionですから、「BがAすること」とやってやると日本語らしくなります。こんな具合です。
科学と技術とまったく唐突に融合したこと
the quite sudden fusion of these two
次のmiddle of the nineteenth centuryのA of Bは、middle(中期・中頃)が全体を3つに分けたときの真ん中の部分を表現しているので、「部分のof」だと分かります。部分のofは「Bの中のA」ですが、「BのA」と訳した方が上手く行きました。いや、この場合はいっそのこと「BA」とやった方がキレイです。
19世紀の中の前期
in the first half of the nineteenth century
19世紀の中の中期
in the middle of the nineteenth century
19世紀の中の後期
in the latter half of the nineteenth century
本文ではin the middleじゃなくてtoward the middleなので「中期にかけて」と訳出します。
さて、A is related to Bは受け身の形をしているのに、訳語は「関係される」じゃなくて「関係がある」です。とっても不思議に思う子がいると思うのですが、「受け身なのに受け身の訳が付かない表現」は中学の時にもたくさん出てきました。こんな具合です。
僕は日本史に興味があります。
I am interested in Japanese history.
あたしは山歩きで疲れています。
I am tired from a mountain hike.
彼はその知らせに驚いた。
He was surprised at the news.
薮下はこういう種類の動詞を「させる系の他動詞」と呼んでます。なぜなら、訳語を見れば分かるように、relateは「関係させる」、interestは「興味を持たせる」、tireは「疲れさせる」、surpriseは「驚かせる」と、全部「~させる」の訳語が付くからです。普通の他動詞「する」は受け身になると「される」で良いのですが、「させる」を受け身にすると「そうさせられてる状態」となってしまって日本語としてはちょっと変です。そこで「そうなっている状態」にしてやって日本語らしくしてやるのです。こんな具合です。
能動→受動→日本語化
興味を持たせる→興味を持たせられてる状態→興味を持っている
疲れさせる→疲れさせられている状態→疲れている
驚かせる→驚かされている状態→驚いている
関係させる→関係させられている状態→関係している
こうしてみると、受け身なのに「~している」の進行形の訳語が付いているのが分かります。この進行形は何かの動作が進行しているのではなくて、その時々の心や体の状態を表しているので、「状態進行形」と呼びます。ま、こんなのは覚えなくても良いですがね。「させる系」についてもっと知りたい子はここから始まる全6回のシリーズを読んでみてください。
この下線部の急所の1つが次の英語です。これをちゃんと訳すことができれば、「and、but、orが結ぶものを見極めろ!」は卒業です。単語がちょっと難しいですが、andが何と何を結んでいるのか見抜けましたか?
the slightly prior and contemporary democratic revolutions
いつものように and 直後に注目すると contemporary という形容詞、直前にも形容詞を探すと prior があります。slightly prior が「ちょっと前」ですから、contemporary は「現代の」ではなく「同時期に起こった」くらいが適切な訳語だと分かります。そして、最初に冠詞の the が出てきた時点で、それとセットになる名詞を探しましたか?つまり、a、an、theを「冠詞」と呼ぶのは、「名詞がかぶる帽子」だからです。今の帽子は昔の冠(かんむり)ですからね。だから冠詞と名詞とはセットになってなくてはいけません。でも、「the形容詞名詞」の形容詞の部分がずいぶん長くなると、theとセットになってる名詞が見つけにくくなりまってしまいます。こんな具合です。青い部分が形容詞です。
それよりもちょっと前か、同時期に起こった民主革命
the slightly prior and contemporary democratic revolutions
これからは、冠詞が出てきたらそれとセットになっている名詞を必ず探してみてください。そうすれば、かなり英語が読みやすくなるはずです。ここまでの所をまとめておくとこうなります。
【全訳例】
科学と技術とが19世紀の中頃まったく唐突に融合したのは、それよりもちょっと前か、同時期に起こった民主革命と間違いなく関係している。

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