英語を読むためのルール16・その18
今回も赤本の2005年度名大英語、大問Ⅰの中に出てくるA of Bや「前置詞+名詞」で遊びましょう。それでは先ず、前に出した宿題から考えてみましょう。
In the study, reported in the April issue of Pediatrics, the parents of 1,345 children were questioned about their children’s viewing habits and then about their behavior at the age of seven. The children who had watched television the most were more likely to rank in the top 10 percent for concentration problems, impulsiveness, restlessness and confusion. The researchers said that each hour of television children watch per day up to the age of three raised by 10 percent the risk that they will have attention problems at age seven.
注 Pediatrics=『小児科学』(雑誌の名前)
『小児科学』4月号に報告された研究の中で、1345人の子供たちの親が、子供のテレビを見る習慣について、またその後、7歳になった子供の行動についてアンケートを受けた。最も多くテレビを見ていた子供は、集中力障害、衝動性、落ち着きのなさ、混乱などで上位10パーセントにランクされる傾向が大きかった。子供が3歳までにテレビを見る時間が、1日当たり1時間増えるごとに、7歳になったとき注意力に欠陥が生じる危険が10パーセントずつ高くなると研究者たちは述べた。
このbyは「差のby」と言って、比較のここでやったやつです。比較じゃなくてもこんな風にも使えます。
⊿1分の差で電車に乗り遅れちゃった。
I missed the train by a minute.
下線部のby 10 percentですが、直前に飾られる名詞がないので、形容詞じゃなくて副詞だと当たりを付けます。形容詞や副詞は大体すぐ近くの名詞や動詞を飾るので、by 10 percentは直前の動詞raisedに掛かっていると考えられます。
⊿10パーセント分だけ上昇させる
raise by 10 percent
そしてここがポイントなのですが、文の後半に「前置詞+名詞」が出てきて、それが副詞だと、大体は文末副詞なのだから文が終わったような気になってしまいます。つまり、「3歳までに子供が見る1時間ごとのテレビの視聴時間は10パーセントだけ上昇させる」あれ?その後ろのthe riskって何?てことになるのです。ここで思い出して欲しいのは、上手く行かないときは「前置詞+名詞」を他の部分から切り出して、「前置詞+名詞」をなかったことにしてその前後をつなげて読むのでしたね!
⊿7歳になったときに、注意力障害になる危険性を上昇させる
raise the risk that they will have attention problems at age seven
自動詞riseと他動詞raiseは良く似ているので、読み間違えないようにすることが大切です。そして、この先、第7ルールのところでやる予定ですが、このthatは「同格のthat」です。つまり、the risk=they will have attention problemsの関係にあるわけです。イコールをbe動詞に換えたって良いくらいです。また、attention problemsは病気なのだから「注意力の問題」とやるよりも「注意不足障害」とか「注意力欠如障害」などとやると格好がつきます。ま、別に「注意力の問題」でもいいけどね。
さて、今までの事をを考え合わせると、下線部は次のように和訳できますが、何かちょっとぎこちない日本語です。
「3歳までに子供が見る1日1時間ごとのテレビの視聴時間は、7歳になったときに注意力障害になる危険性を10%上昇させる」
どうしてぎこちないのかというと、each Aを「それぞれのA」とか「1つ1つのA」と名詞で訳出しているからで、英語には名詞表現が多いのですが、日本語は動詞表現の方が得意なので、名詞を動詞化してやると格好良くなります。つまり、「1時間ごとのテレビ視聴時間」じゃなくて「1時間テレビを視聴する時間が増えるごとに」とやってやるのです。こんな具合です。
⊿それぞれの一歩が痛みを増大させた。
=一歩足を前に踏み出すごとに、痛みが増した。
Each step increased the pain.
もう1つは「モノが危険を上昇させる」はモノ主語なので、モノ主語を理由・原因の副詞にして、「モノの為に、危険が上昇する」としてやります。モノ主語の訳出については一度ここでやりましたね。こうすると、赤本のようなこなれた日本語になるわけです。では今回の宿題ですが、名大の下線部訳以外のA of Bの用法を考えておいてくださいね。結構たくさんありますよ!あ、名大と言えば、Z社長!名古屋大学合格、おめでとう!たまには薮研に遊びに来て、後輩達の面倒をみてやってくださいね。
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This was written by
yabu. Posted on
火曜日, 3月 12, 2013, at 7:30 AM. Filed under
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