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英語を読むためのルール16・その11

今枝君!in large partが副詞なのか、それとも形容詞なのかを考える宿題、ちゃんとやりましたか?大切なのは、間違ってても良いから、自分の頭で考えて自分なりの答えを出すことです。そうすれば、自分の思考過程を振り返って、どこまでは良かったのか、どこからがいけなかったのかが分かります。そうするうちに、自分の内側に正誤が判断できる自分の物差しが出来上がってきます。自分の頭を使わずにすぐに正解を見る癖が抜けないと、正しいかどうかもよく分からない他人の物差しをずっと使い続けることになります。
Yet the point about modern digital and genetic technologies, unlike the big science programs of the past, is that our capacity for innovation is highly distributed across thousands of laboratories in universities and companies.  As a result, it is very difficult for governments to control what goes on.  Innovation is putting modern technologies in the hands of users, whether those be personal communicators or genetic testing kits, rather than in the hands of states.  Thanks in large part to global communications and computing power, innovation has become a far more open, distributed and democratic process.
しかし、現代のデジタル技術と遺伝子技術の重要な点は、過去の大きな科学計画と異なり、技術革新を行う我々の能力は、大学や社会の何千もの研究所に十分に分散していると言うことである。その結果、行われていることを政府がコントロールするのは非常に難しくなっている。技術革新によって、現代の科学技術は、それが個人用の通信装置であれ、遺伝子検査用具一式であれ、国家ではなくむしろ利用者の手に委ねられつつある。主に地球規模の通信とコンピュータ処理能力のお陰だが、技術革新は以前よりもはるかに開かれ、広範囲に広まった、民主的な過程となっている。
in large partの直前にはThanksがあります。これを辞書で引いてみると、感嘆詞で「ありがとう!」か、名詞で「感謝の気持ち」だと書いてあります。会話・対話じゃないのだから、「ありがとう!」は考えられないので、感嘆詞ではないはずです。じゃあ、Thanksは「飾られる名詞」で「感謝の気持ち」のはずだから、in large partはThanksを飾る形容詞だ!と、今枝君は考えませんでしたか?
大部分の感謝の気持ち(?)
Thanks in large part
なかなかの推理力なのですが、内容が「大部分の感謝の気持ち」では意味不明ですよね。そして、その直後にあるto global communications and computing powerも「前置詞+名詞」なので、これもThanksを飾っている形容詞だと考えると「地球規模の通信やコンピュータ処理能力に対する感謝の気持ち」になって、意味はなんとなく分かるのですが、最初のコンマまでが長い名詞になってしまい、文が成立しません。
地球規模の通信やコンピュータ処理能力に対する大部分の感謝の気持ち(?)
Thanks in large part to global communications and computing power
「前置詞+名詞」の直前に「飾られる名詞」があれば、ほとんどの場合「前置詞+名詞」は形容詞として機能します。だから、今枝君の推理も悪くはありません。でも、上手くゆかないときはすぐに頭を切り換えて、「前置詞+名詞」を他の部分から切り出します。言い換えると、その「前置詞+名詞」はなかったことにして、「前置詞+名詞」の前後を続けて読んでください。すると、こんな英語が浮き上がってきます。
地球規模の通信やコンピュータ処理能力のおかげで
Thanks to global communications and computing power
thanks toは2語で1つの前置詞の働きをします。2語が群れているので、こういうのを「前置詞」と呼ぶ人もいます。だから、Thanks to+名詞もこれはこれで「前置詞+名詞」になっていて、「~のおかげで」の意味の副詞の働きをするのです。ということは、in large partは副詞「~のおかげで」を飾っている副詞だと分かります。あ、副詞を飾るのも副詞の仕事です。
主に地球規模の通信やコンピュータ処理能力のおかげで
Thanks in large part to global communications and computing power
英語が読みにくくなるのは主に、「①倒置」、「②省略」、「③挿入」です。この名大の英語が読みにくいのも、in large partという「前置詞+名詞」がThanksとtoの間に割り込んでいるせいです。これも一種の「③挿入」で、副詞が色んなところに割り込むので注意が必要です。例えばこんな具合です。
彼女は子供の頃フランスに住んでいた。
She had, when she was a child, lived in France.
中学で現在完了を習ったとき、haveと過去分詞の間にneverとかalreadyが割り込んだのを覚えてますか?同じ理屈で、時の副詞when she was a childがhadと過去分詞の間に割り込んでいるのが上の例文です。ま、コンマで囲まれているので何かが割り込んでいるのは分かるのですが、まさかhadと過去分詞の間に割り込んでるなんてびっくりするよね!でも、「前置詞+名詞」も含めて、挿入されている副詞はなかったことにして、その前後を続けて読めば大体上手くゆきますよ! 次回は下線部の後半を考えましょう。それでは宿題です。distributed and~のandは何を結んでいるのでしょうか?今枝君!ちゃんと考えておいてくださいね。

2 Comments

  1. 飛べない豚 wrote:

    お久しぶりです。名市大の過去問の英作文の添削をお願いしたいです。
    2011年度 問題2
     
    「それは不必要な死亡、および医薬品に対する信頼の損失の重要な原因となっている。」
    It is the important reason why people die in vain and cease to trust the safety of medicines .
    「経済的に貧しい国々における医薬品管理当局は、さらなる財政的な援助を必要とするだろう。」
    The drug regulatory authorities in poor
    countries will need additional financial
    support .
    (the drug regulatory authorities は文中に出てきています。)
    長文の中で出題されているものなので、添削しづらいかもしれませんが、よろしくお願いします。

    土曜日, 3月 2, 2013 at 6:19 PM | Permalink
  2. yabu wrote:

    飛べない豚君!本当に久しぶりですね。薮下はネットワーク環境のない所にしばらくいたので、返信が遅れてしまいました。君の書いた英語ですが、キレイな良い英語です。これだけ書ければ全く問題はないと思われます。あ、1つ言うならば、「信頼の損失の原因」は1つだけではないと思われるので、the important reasonよりもan important reasonにする方が良いと思われます。theにすると、それが唯一絶対の原因という意味になるからです。ま、冠詞で減点されることはなので、あまり気にすることはないと思います。
    飛べない豚君!自信を持って受験に臨んでくださいね。吉報を待ってます。

    日曜日, 3月 3, 2013 at 2:49 PM | Permalink

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