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Z社長からの質問

<質問>
「hardly」を辞書で引いてみると
(ジーニアス英和辞典G4より)
「文頭で用いる場合は、常に倒置が生じる」
と書いてあります。つまりこの場合、Hardly was a meal finishedとなっているはずです。しかし、この場合は倒置が起きていません。なぜでしょうか。そこで、今度は英英辞典を引いてみました。
そしたらこんな例文がありました。
(OXFORD現代英英辞典より)
Hardly a day goes by without my thinking of her.
これを見て、この「hardly」は文否定ではなくて語否定であるのではないか。という仮説を立て、それに基づいて訳してみました。
すると、以下のようになりました。
(逐語訳)
ほとんどの食事は、子供たちが辞書を引くために立ち上がることなしに終えられることはない。
(意訳)
ほとんどすべての食事中に、子供たちは辞書を引くために立ち上がる。
先生、僕の立てた仮説は正しいでしょうか?
<回答>
Z社長!見事な推論です。やっぱり君は頭がいいですね!否定語が文頭に出ると疑問文型の倒置が起こるはずなのに、それが起こってないところから、hardly が was finished を否定しているのではなく、a meal を否定していると考えた所なんて大したモノですよ!まったく君の言う通りだと薮下も思います。そして、君がやった逐語訳までは薮下もまったくの同意見です。だからといって君の「意訳」のような意味にはなりません。では、せっかくですから君の捜してきた例文を使って説明しましょう。次の2つの英文を比較してみてください。
僕が彼女のことを考えることなく1日も過ぎては行かない。
=僕は毎日彼女のことを考える。
Not a day goes by without my thinking of her.
辞書を引くために立ち上がることなく、1度の夕食が終わることがなかった。
毎回夕食が終わると、子供達は辞書を引くために立ち上がった。
Not a meal was finished without the children jumping up to consult that dictionary.
さて、こんどはnotをhardlyに換えてみます。
僕が彼女のことを考えることなく1日が過ぎて行くことはほとんどない。
=僕はほとんど毎日彼女のことを考える。
Hardly a day goes by without my thinking of her.
辞書を引くために立ち上がることなく、1度の食事が終わることはなかった。
ほとんど毎回夕食が終わると、子供達は辞書を引くために立ち上がった。
Hardly a meal was finished without the children jumping up to consult that dictionary.
ポイントは、notなら「1日も過ぎて行かない=毎日が過ぎて行く」、hardlyなら「ほとんど毎日が過ぎて行く」になることです。だから問題文もnotなら「食事が1回も終わらない=毎回食事が終わると」、hardlyなら「ほとんど毎回食事が終わると」になるのです。
薮下の反省点は、hardlyを is finishedに掛けて訳してしまったところです。つまり、「食事が終わるとすぐに」とか「食事が終わるか終わらないうちに」とやってしまってますね。これは薮下の誤訳です。ですが、「ほとんど全ての食事中に」ではなくて「ほとんど全ての食事が終わった時に」であることには何の変わりもありませんよ!問題集の著者やZ社長の訳語にはwas finishedが全く反映されていないのが誤訳の原因だと思われます。Z社長も「意訳」までは完璧なのですが、肯定文に転換するところでwas finishedがなかったことになってしまうのはどうしてでしょうか?
ほとんどの食事は、子供たちが辞書を引くために立ち上がることなしに終えられることはない。
=子供達が辞書を引くために立ち上がることなしに、ほとんどの食事は終えられることはない。
=子供達が辞書を引くために立ち上がることなしに、ほとんど毎回食事は終えられることはない。
これは薮下の邪推なのですが、「ほとんどの食事」をもしかして「食事が始まってから終わるまでのほとんどの時間」と考えてませんか?そうではなくて、「食事をするとき、毎回ではないけれどもほとんど食事の度に」の意味だということに気がついていますか?

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