英語を読むためのルール16・その1
<質問>
これは、ある問題集に載っていた東北大学の下線部訳とその解答例です。
The Japanese shores are the scene of more drownings, relative to population size, than any other coast in the world. Many explanations are offered for this disturbing fact. The waves and currents are uniquely dangerous. But the experience of a casual traveler will deny this; the waters are no more dangerous than those found anywhere else in the world’s oceans.
日本の海岸は、人口の規模の割に、世界の海岸の中で最も溺死が多い場所となっている。この困った事実に対して多くの説明がなされる。波と海流がどこと比べても危険だ(というように)。しかし、ふらりと旅行に来た人の経験でこのことは否定される。つまり日本の海域は世界の太陽のどこにでもみられる海域と同程度に危険性は少ないのである。
薮下先生は普段、モノ主語は人を主語にして訳し直せと言ってるので、僕はこの部分を「のんきな旅を経験した人はこのことを否定します」と和訳しました。でも、人を主語にはしたのですが、どこかしっくり来ません。ぼくの答案で正しいのでしょうか?
<回答>
今枝君!君の言うとおりで、モノ主語の英文をモノ主語のまま日本語にすると、ちょっと違和感が残ります。ですから、モノ主語を理由や原因の副詞にして、人を主語にして訳し直すとカッコイイ日本語になります。このことは以前ここでも勉強しましたね。
ご質問の東北大学の英文もモノ主語ですから人を主語にして訳し直すと良いのですが、君の訳語では原文の意味とちょっと違ってきてしまいます。つまり、「のんきな旅を経験した人」とすると、その人が経験した内容が「のんきな旅」になってしまうからです。そうではなくて、のんきな旅をする人が「日本の海岸の様子」を経験するわけですから、こうしてやらないといけません。
「ぶらりと旅をして日本の海岸を見てきた人は、このことを否定します」
experienceには「見聞」の意味もありますから、ここでは「経験」と訳出するよりも「見聞きしたこと」とやる方が良いでしょう。こうすると、ちゃんと人を主語にして訳し直すことができます。
・
Post a Comment