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森田君の挑戦(45)

<問題>                                            
2004年度・京都大学・Ⅲ(1)
わたしたちは、家具や道具はなるべく木の素材を選んでいます。木は命あるもの独特のやさしい雰囲気があるので、心地いいんです。人工的な素材は新しい時が最高の状態だけど、木は新品の時が出発点です。年月に磨かれて、味わいも美しさも増していく。そこが一番の魅力です。
<答案>
I make it a rule to choose wooden furniture and instruments as far as I can.  Wood takes on a special kind of atmosphere which only alive things have, so I feel it comfortable.  Artificial ingredients are best when they are new while wooden ones get better since they are made.  They are polished as they get old and more interesting and more beautiful.  I’m fascinated by it most.
<読者への挑戦>
赤い部分の英語が間違っています。さて、どうしてそれが間違っているのか、またどうすれば正しい表現になるのかを考えてみてください。
<添削>
今回で「森田君の挑戦」も最終回です。森田君!長い間よく頑張りましたね。君の力を持ってすれば、どの大学の英作文でも合格答案がちゃんと作れますよ。自信を持って受験してらっしゃい!来年度は別の子の添削を掲載する予定ですが、だれか挑戦してみませんか? さて、今日は「道具」、「命あるものが持つやさしさ」、「私はそれが心地いいんです」、そして「そこが一番の魅力です」の4つの表現を勉強しましょう。
①toolとinstrument
両方とも「道具」の意味があるのですが、同じ「道具」でもちょっと違います。森田君が使っているinstrumentは科学、医学、音楽などの特定分野でその道の専門家が使う道具です。大体が金属製で、「計器」とか「器具」、「楽器」などと呼ばれています。一方、toolは日常生活の中で普通の人が手に持って使う道具です。あ、のこぎりや金槌は、どの家にもあって手で持って使う道具なのでcarpenter toolと言います。問題文の「家具や道具」も、どの家にもあって手に持って使う道具のことだからinstrumentではなくてtoolを使います。
②alive、live、livingの違い
「生きている」の意味を持つ類義語にalive、live、livingの3つがあります。3つとも意味は同じ「生きている」なのですが、使い方が違います。
その魚は生きている。
The fish is alive.
=The fish is living.
生きた魚
a live fish
=a living fish
形容詞には2通りの使い方があって、「A is 形容詞」の叙述用法と「形容詞A」の限定用法です。つまり、The dog is whiteかa white dogかなわけです。「生きている」という意味の形容詞は、叙述用法ならalive、限定用法ならlive、どっちでも使えるのはlivingを使います。問題文の「生き物」は限定用法ですから living thingsにします。あ、それに「優しい雰囲気」の意味を織り込むにはこうしてやります。
Wood takes on a warmth which only live things have.
③I feel that it is comfortable.
森田君の英語が文法的に間違っているわけではありません。ただ、第5文型のitはどうしても形式目的語を期待させます。
⊿そこへ行く必要はないと思う。
I don’t feel it necessary to go there.
だから、ここではSo it feels comfortableとかI feel [that] it is comfortableとしてやります。
④That is what fascinates me the most.
これも、森田君の英語が文法的におかしいわけではないのですが、「そこが一番の魅力です」は人を主語にした受け身よりも、モノを主語にした能動態の方が英語らしい表現になります。つまり、「年月に磨かれて味わいや美しさが増して行くこと」をthatで受けて、補語を「僕(の心)を一番とらえて放さないもの」、that is what fascinate me the mostとしてやるわけです。
追伸
『森田君の挑戦』で英作文の公開添削を引き受けてくれた森田君は大阪大学、近田君は京都大学にそれぞれ合格しました。森田君に近田君!二人とも合格おめでとう。将来の君たちの活躍を薮下は心から祈っています。

4 Comments

  1. Z社長 wrote:

    お忙しい中すいません。
    赤本の模範解答に疑問を感じたので、質問します。
    2006年東北大学(前期)第5問(英作文)
    脳の研究が盛んになったが、今にもすべてのことがわかってしまいそうに思うのは誤りである。やはり脳は大変な研究対象であり、これまでにわかったことは氷山の一角に過ぎない。水面の下には多くのわからないことが隠されている。このことは、たとえば、脳がどう働いて我々の心を生み出すのかを説明しようとすればすぎにわかる。
    (伊藤正男『脳の不思議』)
    この問題の
    「水面の下には多くのわからないことが隠されている。」の模範解答に疑問を感じたわけです。
    赤本によると、
    解答例)
    below the surface of the water, a lot of what is still unclear, remains hidden.
    となってます。与えられた日本語をそのまま訳せば確かにこうなるのですが、
    僕はこの問題を解くときに、「水面の下」は比喩表現だと思い、以下のように英訳しました。
    Z社長の解答)
    Many things we don’t know are hidden behind what we have realized.
    模範解答英文を解釈すると、
    「実際に、水面の下にわかってないものがあって、それが水面の上から見たときに見えない。」
    となると思いますが、
    明らかにヘンだと思うんです。
    先生はどうお考えになりますか?

    木曜日, 2月 14, 2013 at 12:10 AM | Permalink
  2. yabu wrote:

    Z社長!この英語は君の言うとおり明らかに変です。この英語にはミスプリントがあって、おそらく2つ目のコンマは不要だと思われます。つまり、正しい英語はこうなってないといけません。
    Below the surface of the water, a lot of what is still unclear × remains hidden.
    そうすると、「水面下には、まだよく分かってないたくさんのことが依然として隠れている」の意味になって意味が通じます。そして、英作文の場合は和訳と違って、比喩表現はそのまま英訳しても、それを具体化して英語にしても、採点結果に大きな違いはないと思われます。ですから、Z社長がやったように具体化してもOKです。あ、文脈から、僕らが脳について「理解しているかどうか」ではなく「知っているかどうか」を言っているので、realizeではなくてknowにした方が良いでしょう。
    Many things we don’t know are hidden behind what we have realized.
    Many things we don’t know are hidden behind what we do know.
    それにしても、もうちょっとしっかりと校正をして欲しいモノですね!

    木曜日, 2月 14, 2013 at 9:46 AM | Permalink
  3. よしひろ wrote:

    お久しぶりです。質問かなり久しぶりですけど、毎日森田君とAKB47君のやつ見てました!
    質問なんですけど、内容説明問題です。
    2001年 千葉大
    (2)Evolution involves variation, a struggle for existence, and natural selection. Random events also play an important part, particularly in small populations. What will happen these processes over the next 1000 years?
    The amount of variation may well go up: migration, the melting pot, means that the genes of the peoples of the world will mix together into a rich genetic soup and there will be no shortage of the raw material of evolution. In the West at least, most babies born now survive until they themselves have babies, so that existence is less of a struggle than it was. Natural selection involves inherited differences in the chance of surviving that struggle, and as most of us do survive nowadays until we have passed on our genes, the strength of selection has decreased.
    設問 筆者は下線部(2)で挙げられている「変異」「生存競争」「自然淘汰」の3つのプロセスについて、今後どのようになると予測していますか。
    下線部が抽象表現であり、そのあとの疑問文からも判断できるように、後方照応で具体化されていて、なおかつ設問に示唆があるので、和訳箇所を見つけるのは簡単な設問ですが、赤本の解答が簡潔すぎて、心配です。この設問なら、どこまで和訳したらいいのでしょうか?ちなみに赤本はこうです。
    変異:民族の移動により増大する。
    生存競争:少なくとも西洋では昔より激しくなる。
    自然淘汰:力は弱まる。
    この答えでは、かなり不安なのは僕だけでしょうか?ポイントが入らないのは避けたいので、もっと具体的に説明したのですが・・・・
    千葉大はほとんどが内容説明問題なので、いつも自分で採点していてとても不安です。説明の具体化の程度のアドバイスもいただけたら嬉しいです。長くなってごめんなさい。お願いします!

    木曜日, 2月 14, 2013 at 10:23 AM | Permalink
  4. yabu wrote:

    よしひろ君!久々の投稿、大歓迎です。さて、よしひろ君の違和感は、赤本がそれぞれの予想結果だけを述べているだけで、その根拠が示されていないからだと思われます。もし字数に制限がないのであれば、そう予想するところの根拠もちゃんと示すべきだと薮下も考えます。あ、もっと正確に言うと、「異変」に対してはちょっととぼけた根拠をつけているのに、「生存競争」と「自然淘汰」には何の根拠もないままただ予想される結果だけを書いているのが気に入りませんよね。
    「ちょっととぼけた」と書いたのは、民族の移動は異変増大の直接原因ではないからです。そうではなくて、書くのなら「民族間で遺伝子が混ざるので、異変は増大する」とするべきでしょうね。同様に、他のにもそれぞれそう予想されるところの根拠をつけてやるべきです。こんな具合です。
    異変=民族間で遺伝子が混ざるので、異変は増大する
    生存競争=子供を儲けるまで死なないので、生存競争は激しくなる
    自然淘汰=ほとんどが遺伝子を子孫に伝えるので、自然淘汰は弱まる。
    よしひろ君。また腑に落ちないことがあったら質問してくださいね。

    木曜日, 2月 14, 2013 at 12:40 PM | Permalink

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