Skip to content

森田君の挑戦(29)

<問題>
京都大学 1992 (2)

このごろ昔の長い小説を読んでいる。一つには、当今のものを退屈しながら読むくらいなら、前に読んで思い手応えのあったものを再読したいという気持ちになったためであり、もう一つには、長大な作品を書いていくなかで作者が成熟して行くのをみるのが面白くなったためである。

<答案>
These days, I read old fictions. One of the reasons is that I want to read long and good fictions which I have already read instead of the dull ones that are relatively new. Another reason is that it is interesting that I find that the writers become better by writing long fictions.
<読者への挑戦>
赤い部分の英語が間違っています。さて、どうしてそれが間違っているのか、またどうすれば正しい表現になるのかを考えてみてください。  
<添削>
森田君!「思い手応え」って何ですか?もしかして「重い手応え」でしょうかね?それなら、ちょっと注意力が足りませんよ!あ、「手応えのあった小説」をrewarding novelsではなくてgood novelsで上手く逃げましたね。加点されないかも知れませんが、減点されることはないでしょう。rewardingは「やったことが無駄にならない」が原義で、こんな具合に使います。
 やり甲斐のある仕事
rewarding work
実りある人生
rewarding life
有意義な会話
rewarding conversation
さて、今回は、「小説」、「思い?手応えのあった小説」、「AするくらいならむしろBしたい」、そして「作者が成熟するのをみるのが面白い」の4つの表現を勉強しましょう。
①小説
「小説」にはnovelとfictionの2つがあって、具体的に目の前に存在する1冊、または数冊の「小説」をいうときにはnovel(s)、抽象的で目に見えない分類(category)としての「小説」や、「事実」に対立する概念としての「作り話」を言うときにはfictionを使います。だから、novelは数えられますが(可算名詞)、fictionは数えられません(不可算名詞)。こんな具合です。
彼がその小説を書いたかどうかはよく分かりません。
I don’t know whether he wrote the novel or not.
そのニュースは事実ではありません
The news is fiction.
その書店の小説コーナーはいつも人で一杯です。
The fiction section at the bookstore is always crowded.
問題文の中の「昔の長い小説を読んでいる」は、目に見える具体的な小説の方ですから、fictionじゃなくてnovelです。ですから、fictionsをnovelsにしてやります。それに、「昔の長い小説」なのだから、old long novelsじゃないといけませんね。あ、それに一番最後のlong fictionsもlong novelsにする必要があります。
②思い手応えのあった小説
森田君!前から言ってるのですが、自分のやった仕事をちゃんと見直しなさいよ!「思い手応え」って、もしかして「重い手応え」ですか?日本語がよく分からないものを英訳することはできません。ただ、性状形容詞をandで結ぶことはありません。そして、novelsに本質的に関係が近い形容詞がnovelsの近くに来るので、long and good novelsではなくてgood long novelsにしてやります。
③「当今のものを退屈しながら読むくらいなら(むしろ)前に読んで思い?手応えのあったものを再読したい」
I want to read good long fictionsとしても文法的には問題ないのですが、問題文の「AよりもむしろBしたい」の意味を表現するにはあまりにも幼稚すぎますね。やっぱりwould rather A than Bを使って表現した方が良いでしょう。ですから、I would rather read good long novels~than dull ones that are relatively new.としてやります。
④「作者が成熟してゆくのをみるのが面白い」
「~するのは面白い」と言うのであれば、It is interesting to~を使います。君がやったようにIt is interesting that S+Vとすると「SがVしたという事実は面白い」の意味になってしまいます。こんな具合です。
サッカーをやるのは面白い。
It is interesting to play soccer.
彼がサッカーをやったなんて面白いね。
It is interesting that he played soccer.
問題文は「作者が成熟してゆくのを私が発見するという事実が面白い」と言ってるわけではありません。だから、It is interesting to find that~にしてやります。

Post a Comment

Your email is never published nor shared. Required fields are marked *
*
*