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【講義ノート183】名詞構文(4)

今回は「1回休み」で先には進まず、『フォレスト第5版』の394ページ、「(2)<主語+動詞+目的語>の関係を含む名詞構文」につて考えてみます。
<注意>「他動詞の名詞形の後ろに目的語を続ける方法」
of以外の前置詞を使って名詞の後ろに目的語を続けることがある

■あなたがその会議に出席することを楽しみにしています。
We are looking forward to your attendance at the meeting.
■私がスペインを訪れたのはこれが初めてです。
This is my first visit to Spain.
また『フォレスト』お得意の何でもありありの説明ですね!説明の語尾を茫漠とぼかしすのは、自分の論文だけにして欲しいモノです。ま、小言はこのくらいにして、この「pay a visit to 場所」は入試に頻出の慣用句なので、これについて薮下が思っていることを書いておきます。ここは読みしてくれてもかまいません。
ここで『フォレスト』が言いたいのは、他動詞を名詞表現にするとき、普通は「BAす」の「A of B」を使うのだけれど、たまにはof以外の前置詞を使って「A at B」や「A to B」になるぞ!と言うことです。でも、相変わらず、どういう場合にof以外の前置詞を使うのかが説明されていません。「A at B」や「A to B」につて書いてないと後で何を言われるか分からないので、とりあえず載せはしたけれど、説明はなし!というところでしょうかね。
さて、目的語は普通「何」の訳語が付くので、目的語を後ろに従える他動詞を名詞化すると「BAする」のA of Bを使います。でも、上の例文の名詞表現「その会議出席すること」は「BAする」になっていて他動詞っぽくないですよね。なぜなら「出席する+どこ」の「どこ」は「目的語」なんかじゃなくて、ただの場所の副詞じゃないの?!と思ってしまうからです。実際に「attend(出席する)」には自動詞、他動詞両方の用法があるのですよ。逆に言うと、自動詞と他動詞の区別って結構曖昧なんです。あ、自動詞 attendは今ではほとんど使わないとても格式の高い表現なのですがね。
日本語を勉強する外国人に、「動詞が自動詞か他動詞かなんて考える必要はないよ!」と教えるそうです。どうしてかというと、自動詞か他動詞かは動詞の見かけから判断するのではなくて、動詞の後ろに「何」が付いているかどうかで判断できるからです。つまり、動詞の自他の区別は、名詞の格変化で決まるのですね。
・風でドア開(ひら)いた。(自動詞)
・僕は本開(ひら)いた。(他動詞)
日本語だけじゃなく、ドイツ語やラテン語にも名詞の格変化がしっかりあります。そしてattendはラテン語を語源とする動詞なのですよ!面白いでしょ!
同じようにvisitにもラテン語由来の動詞で、自動詞と他動詞の両方の用法があります。あ、visvision(視力)やvisible(目に見える)にも入っている語根で「見る」の意味があって、visitは「見に行く」くらいの意味です。日本語にすると確かに「スペイン」と目的語の訳語が付きますが、どう考えても to Spain は場所の副詞で「どこに行くの?」の情報を補足しているだけです。家族の様子や病気の友人を「見に行く・見舞う」場合を除いて、visitの後ろに来るのは場所の副詞です。決して「絵画を見に行く」とか「花火を見に行く」の様にvisitは使えません。前に自動詞を名詞化するときに使った例文と比べて見ましょう。
彼が首相官邸到着したこと(自動詞)
his arrival at his official residence
あながたその会議出席したこと(他動詞?!)
your attendance at the meeting
私やスペイン初めて訪れたこと(他動詞?!)
my first visit to Spain
attendもvisitも自動詞にもなれば他動詞にもなります。その上、名詞が格変化をやめてしまった英語にとって、それが自動詞なのか他動詞なのかなんて動詞の外面(そとづら)からでは分からないのですよ!それを他動詞だと決めつけて、これは「A of B」じゃなくて「A at B」になるんだよ!?と言うこと自体、薮下には無意味なことのように思われます。ましてや「atやtoを使うことがある」と言われた日にはどうしたらよいのかサッパリ分かりませんよね。結論としては、「pay a visit to+場所は覚えとこうね!」ということです。ほらね!1行で終わるでしょ!
英文法が出来上がったのは1800年頃のことで、まだせいぜい200年くらいしか経っていません。16世紀の終わり頃、急速に成り上がった英国が、自分たちの言葉に文法がないこを猛烈に恥じ入って、当時のヨーロッパの知識人が使っていたラテン語の文法を真似て英文法を作ろうと思ったのがきっかけです。現代英文法は多少はマシにはなったのですが、何を正統(主流)とし、何を傍流、亜流とするかでもめていて、学校英文法にはそれが反映されず、旧態依然としたままです。そんな学校英文法が、現実の英語を上手く説明できるはずがないよね!あ、実は日本語の文法も、同じ理由でラテン語文法の型に日本語を流し込んだだけの間に合わせです。あっ、恥ずかしいっ!

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