翠君からの質問
<質問>
初めてコメントさせていただきます。
翠と申します。高校2年生です。いくつか記事を読ませていただいたところ、質問をコメント欄で受け付けていただけるようでしたのでコメントさせていただきました。さっそく質問させていただきたいのですが、関係代名詞のthatとwhatの使い分けのことで授業でthatを使うときはthat以下が完全文にwhatを使うときはwhat以下が不完全文になる。とおしえていただいたのですが、いまいち使い分けがわかりません。お手数をおけしますが、お答えいただけたらと思います。よろしくお願いします。乱文失礼いたしました。
<回答>
翠君の初投稿を歓迎しますよ!ご質問の関係代名詞のthatとwhatの区別ですが、両方とも関係代名詞なので、直後の文は2つとも「不完全文」じゃないといけません。なぜなら、飾りの文の中にある先行詞と同じ内容の名詞が関係代名詞化して飾りの文の先頭に出て行くので、関係代名詞が導く文は必ず名詞が欠落している「不完全文」になるからです。じゃあ、それを証明してみましょう。
I couldn’t understand the thing.(言いたい文)「ぼくはそのことが理解できなかった。」
+
He said that.(飾りの文)「彼はそう言った。」
先行詞はthe thingです。下の「飾りの文」がthe thingを飾ろうとしています。「飾りの文」の中にあるthatは中学の時に習った「それ」「あれ」です。このthatは先行詞の内容と同じですから、これが関係代名詞thatになって飾りの文の先頭に出て行きます。そして「ここから直前の名詞の飾りが始まるよ!」という記号になります。ほらね!飾りの文の中の「あれ」「それ」のthatが消えて関係代名詞のthatになるのですから、当然飾りの文は「不完全文」になるわけです。
■僕は彼が言うことが理解できなかった。
I couldn’t understand the thing ←that he said that
=I couldn’t understand the thing that he said.
あ、関係代名詞とは、「直前の名詞(先行詞)の飾りがここから始まるよ!という記号である」と薮下は定義します。そして、中学の時に習った指示代名詞のthatが関係代名詞thatになってますね。つまり、関係代名詞のthatは「あれ」「それ」のthatから生まれたわけです。あ、あ、「←」の記号は、「左の先行詞を飾っている」くらいの意味です。
さて、ついでにもう1つ文の足し算をやっておきましょう。
I will give you the thing.(言いたい文)「僕はそのモノを君にあげよう。」
+
You want that.(飾りの文)「あなたはそれが欲しい」
■僕は君が欲しいモノをあげよう。
I will give you the thing.←that you want that
=I will give you the thing that you want.
2つの例文に出てくる「~すること」「~するもの」は、日常会話の中にとてもよく出てきますよね。でも、その度にthe thing that、the thing whichと言うのは面倒でかないません。僕ら人間はともかく面倒なことが大嫌いです。そこで、the thing(s) thatやthe thing(s) whichをギュッと1つに凝縮して、コンソメスープのようなwhatという関係代名詞を作ってしまった。これならとっても簡単ですよね。さっきの2例はコンソメwhatを使うとこうなります。
■僕は彼が言うことが理解できなかった。
I couldn’t understand what he said.
■僕は君が欲しいモノをあげよう。
I will give you what you want.
あ、「コンソメwhat」でも良いのですが、訳語が「~すること」「~するもの」となるので、薮下はこれを「こと・ものwhat」と呼んでいます。
次に、「ことシリーズのthat」というのがあります。学校英文法ではこれを「従属接続詞thatが導く名詞節」と呼んでますが、とっても面倒なので薮下が勝手に「ことシリーズ」と呼んでいるだけですがね。ことシリーズの詳細については一度ここを参照してみてください。このthatはともかく「完全文」の前にひっつけるだけで、「~すること」「~であること」の意味のかたまり(名詞節)を簡単に作ることができます。こんな具合です。
・that+I go there.(僕はそこへ行く)=that I go there(僕がそこへ行ったこと)
・that+I love you.(僕は君が好きだ)=that I love you(僕が君をあいしていること)
・that+You are happy.(君は幸せだ)=that you are happy(君が幸せであること)
・that+He said so.(彼はそう言った)=that he said so(彼がそう言ったこと)
最後に「こと・ものwhat」と「ことシリーズのthat」とを比較してみましょう。
■僕は彼が言ったことなんか知りません。
I don’t know what he said.
■僕は彼がそう言ったことなんか知りません。
I don’t know that he said so.
さて、これでやっと翠君の質問の核心にたどり着いたと思います。多分翠君の質問は「こと・ものwhat」と「ことシリーズのthat」の違いに関する質問だと思われます。だって、両方とも「こと」の訳語が付くのだから、上の2つを区別するのはちょっと難しいよね。でも、ここで勉強してきたように、2つの形の上での違いはハッキリしています。つまり、上の例文のwhatは関係代名詞だから、直後の文は「不完全文」が来て、下の例文は「ことシリーズのthat」で直後には「完全文」が来ると言うことです。
そして、意味内容を区別するには、こう考えると簡単ですよ!
・「こと・ものwhat」は「内容」
・「ことシリーズの that」は「事実」
▲僕は彼が言ったことの内容なんて知りません。
I don’t know what he said.
▲僕は彼がそう言ったという事実なんか知りません。
I don’t know that he said so.
ほらね!こうするとハッキリ区別ができるでしょ!さて翠君の質問の中に「授業で(関係代名詞の)thatを使うときはthat以下が完全文に(関係代名詞の)whatを使うときはwhat以下が不完全文になる、と教えていただいたのですが」と言ってますが、もしかして薮下は授業でそんなことを言いましたか?もしそうであれあば、薮下の言い間違いです。謹んで訂正させてくださいね。
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2 Comments
お答えありがとうございました。
質問の仕方が下手で申し訳ありませんでした。
ですが、的確に答えていただけたので、よくわかりました。ありがとうございます。
自己紹介が足りなくて、申し訳ありません。
私は愛知県の公立高校に通っています。
兄がそちらの学校でお世話になっていて、英語が不得意な私に兄がこちらのサイトを教えてくれたので、活用させていただいております。
これからも使わせていただいてよろしいでしょうか?
翠君!質問はいつでもOKですよ!「薮研」は下の子は中学生から上は大学生までいろんな子がいろんな目的で利用しいます。どんどん使ってくださいね!学校の友達にも教えてあげてください。翠君がいずれは英語を得意科目にすることができると薮下は信じていますよ。ま、気長に頑張りましょうね。
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