【講義ノート81】「分詞構文」って何?
▼あたしが部屋に入ったとき、あたしは血まみれの男があたしのベッドで死んでいるのに気がついた。
When I entered my room, I found a man all bloody dead in my bed.
サスペンス映画に出てきそうな場面です。サスペンスは話の展開のスピードが命です。でも、最近のサスペンスドラマのは、状況説明の場面が多くてストーリーの展開が遅いので、あんまり面白くないよね。上の例文も「あたし」が2回でてくるし、接続詞Whenで結ばれた文が2つもあり、長くてノロい英語です。じゃあ、次のはどうでしょう。
▼部屋に入ると、あたしは血まみれの男があたしのベッド出死んでいるのに気がついた。
Entering my room, I found a man all bloody dead in my bed.
今度のは、「あたし」が1つになり、そのお陰で「主語+動詞」を含む文も1つになりました。これでグンとスピード感が出てきましたね。この様に、分詞を使って文を短くして、スピード感を持たせる省略技法のことを「分詞構文」と呼んでいます。あ、「血まみれの男」は英語でa man all bloodyにしました。all bloodyは2語以上の長い飾りなのでmanの後ろに回っているのに注意してください。an all bloody manには決してなりませんよ!これ、ETの法則でしたね。
あ、あ、そして分詞構文は書き言葉の技法の一つですから、会話では使いません。
さて、なぜ「省略」できるのかというと、いつもよく使う表現なので無くても分かるからです。だから、省略しても、何が省略されたのかがすぐに分かるくらい文が安定していなくてはなりません。じゃあ、分詞構化しても文が安定しているのはどんな時かというと、こんな時です。
①副詞節が「時」を表しているとき
②副詞節が「理由・原因」を表しているとき
③副詞節が主節と「同時」か「連続」の関係にあるとき
今日の例文は③で、副詞節が主節と「同時」か「連続」の関係にあるとき、です。「同時」、「連続」と言うと難しそうですが、要は「~しながら」か「~してそして・・・」です。
■歌を歌いながら、母は台所を片付けている。
My mother is cleaning the kitchen[,] singing a song.
主節は「母は台所を片付けている」で、それと「同時」に進行しているのが副詞節の「歌を歌いながら」です。「連続」の例も挙げておきましょう。
▼この列車は東京を9時に出発して、そして大阪に12時に到着します。
This train leaves Tokyo at nine, arriving at Osaka at twelve.
この様に、主節と副詞節とが「同時」や「連続」の関係にある分詞構文を「付帯状況分詞構文」と呼びます。普通は例文にあるように「, -ing」の形をとりますが、たまにコンマ(,)が省略されることがあります。だから、英文を読んでいて唐突に現在分詞や過去分詞が出てきたら、この「同時」か「連続」だと思ってください。
さて、去年の今頃に丸山先生から構文の教え方を一緒に考えましょうと持ちかけられ、二木先生からはWordPressという面白いブログソフトがあるのを教えてもらったのがきっかけで再開した「薮下研究室」のブログ版でしたが、あっという間に1年経ってしまいました。ホームページ版の旧「薮下研究室」を7年間放置していたのを考えると、こうしてブログ版を1年間続けられたことにブリブリ満足しています。特に丸山先生や二木先生には感謝の気持ちでいっぱいですよ。お二人がいなければこのブログ版はありませんでしたからね。来年も「薮研」で英語を勉強しましょうね。年内の更新は今日までです。新年は4日から更新を再開する予定です。それでは皆さん、良いお年を!
【第20章 分詞(2)】例文164
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yabu. Posted on
土曜日, 12月 31, 2011, at 6:52 AM. Filed under
「ヤバイ英文法」. Bookmark the
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2 Comments
初めてコメントさせていただきます。
翠と申します。高校2年生です。
いくつか記事を読ませていただいたところ、質問をコメント欄で受け付けていただけるようでしたのでコメントさせていただきました。
さっそく質問させていただきたいのですが、関係代名詞のthatとwhatの使い分けのことで授業でthatを使うときはthat以下が完全文にwhatを使うときはwhat以下が不完全文になる。とおしえていただいたのですが、いまいち使い分けがわかりません。
お手数をおけしますが、お答えいただけたらと思います。よろしくお願いします。
乱文失礼いたしました。
翠君の初投稿を歓迎しますよ!ご質問の関係代名詞のthatとwhatの区別ですが、両方とも関係代名詞なので、直後の文は2つとも「不完全文」じゃないといけません。なぜなら、飾りの文の中にある先行詞と同じ内容の名詞が関係代名詞化して飾りの文の先頭に出て行くので、関係代名詞が導く文は必ず名詞が欠落している「不完全文」になるからです。じゃあ、それを証明してみましょう。
I couldn’t understand the thing.(言いたい文)「ぼくはそのことが理解できなかった。」
+
He said that.(飾りの文)「彼はそう言った。」
先行詞はthe thingです。下の「飾りの文」がthe thingを飾ろうとしています。「飾りの文」の中にあるthatは中学の時に習った「それ」「あれ」です。このthatは先行詞の内容と同じですから、これが関係代名詞thatになって飾りの文の先頭に出て行きます。そして「ここから直前の名詞の飾りが始まるよ!」という記号になります。ほらね!飾りの文の中の「あれ」「それ」のthatが消えて関係代名詞のthatになるのですから、当然飾りの文は「不完全文」になるわけです。
■僕は彼が言うことが理解できなかった。
I couldn’t understand the thing ←that he said that
=I couldn’t understand the thing that he said.
あ、関係代名詞とは、「直前の名詞(先行詞)の飾りがここから始まるよ!という記号である」と薮下は定義します。そして、中学の時に習った指示代名詞のthatが関係代名詞thatになってますね。つまり、関係代名詞のthatは「あれ」「それ」のthatから生まれたわけです。あ、あ、「←」の記号は、「左の先行詞を飾っている」くらいの意味です。
さて、ついでにもう1つ文の足し算をやっておきましょう。
I will give you the thing.(言いたい文)「僕はそのモノを君にあげよう。」
+
You want that.(飾りの文)「あなたはそれが欲しい」
■僕は君が欲しいモノをあげよう。
I will give you the thing.←that you want that
=I will give you the thing that you want.
2つの例文に出てくる「~すること」「~するもの」は、日常会話の中にとてもよく出てきますよね。でも、その度にthe thing that、the thing whichと言うのは面倒でかないません。僕ら人間はともかく面倒なことが大嫌いです。そこで、the thing(s) thatやthe thing(s) whichをギュッと1つに恐縮して、コンソメスープのようなwhatという関係代名詞を作ってしまった。これならとっても簡単ですよね。さっきの2例はコンソメwhatを使うとこうなります。
■僕は彼が言うことが理解できなかった。
I couldn’t understand what he said.
■僕は君が欲しいモノをあげよう。
I will give you what you want.
あ、「コンソメwhat」でも良いのですが、訳語が「~すること」「~するもの」となるので、薮下はこれを「こと・ものwhat」と呼んでいます。
次に、「ことシリーズのthat」というのがあります。学校英文法ではこれを「従属接続詞thatが導く名詞節」と呼んでますが、とっても面倒なので薮下が勝手に「ことシリーズ」と呼んでいるだけですがね。ことシリーズの詳細については一度ここを参照してみてください。このthatはともかく「完全文」の前にひっつけるだけで、「~すること」「~であること」の意味のかたまり(名詞節)を簡単に作ることができます。こんな具合です。
・that+I go there.(僕はそこへ行く)=that I go there(僕がそこへ行ったこと)
・that+I love you.(僕は君が好きだ)=that I love you(僕が君をあいしていること)
・that+You are happy.(君は幸せだ)=that you are happy(君が幸せであること)
・that+He said so.(彼はそう言った)=that he said so(彼がそう言ったこと)
最後に「こと・ものwhat」と「ことシリーズのthat」とを比較してみましょう。
■僕は彼が言ったことなんか知りません。
I don’t know what he said.
■僕は彼がそう言ったことなんか知りません。
I don’t know that he said so.
さて、これでやっと翠君の質問の核心にたどり着いたと思います。多分翠君の質問は「こと・ものwhat」と「ことシリーズのthat」の違いに関する質問だったと思われます。だって、両方とも「こと」の訳語が付くのだから、上の2つを区別するのはちょっと難しいよね。でも、ここで勉強してきたように、2つの形の上での違いはハッキリしています。つまり、上の例文のwhatは関係代名詞だから、直後の文は「不完全文」が来て、下の例文は「ことシリーズのthat」で直後には「完全文」が来ると言うことです。
そして、意味内容を区別するには、こう考えると簡単ですよ!
・「こと・ものwhat」は「内容」
・「ことシリーズの that」は「事実」
▲僕は彼が言ったことの内容なんて知りません。
I don’t know what he said.
▲僕は彼がそう言ったという事実なんか知りません。
I don’t know that he said so.
ほらね!こうするとハッキリ区別ができるでしょ!さて翠君の質問の中に「授業で(関係代名詞の)thatを使うときはthat以下が完全文に(関係代名詞の)whatを使うときはwhat以下が不完全文になる、と教えていただいたのですが」と言ってますが、もしかして薮下は授業でそんなことを言いましたか?もしそうであれあば、薮下の言い間違いです。謹んで訂正させてくださいね。
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