ReadingDrill第11回(3)
前から現代文の話をしています。ちょっと英語から離れてしまった感がありますが、もう少しお付き合いください。ちゃんと早稲田の内容一致問題が解けるようにしてあげます。
前に、「内容一致問題」の選択肢の正誤を判定するための根拠文は「主張文」だと書きました。このことについて今回は、薮下がいつも使う「イモト」さんの例で説明しましょう。
世間ではイモトをブスだと言う。
でも
彼女こそ沈魚落雁、閉月羞花と形容すべき女性だと思う。
つまり
彼女は、その美しさに魚は沈んで岩場に隠れ、渡り鳥の雁は恥じ入って落ちてしまうくらい美人なのである。
実際(例えば)
あの吸い込まれるような愛らしい瞳、むしゃぶりつきたくなるような紅い唇を見て何も感じない男なんていないはずだ。
どうして彼女が美しいのかというと、
イモトの母さんも絶世の美女!
だから(結局)
世間の奴らは身の丈に合ったブスに魅かれ、相手にしてもらえない美人を敬遠してしまうのが問題なのだ。
このロジックを簡単に説明しておくと、先ず「一般的意見・客観的事実」と対立する形で「主張」が展開されます。この「主張」が抽象的に表現されている場合は、右でそれが具体化されます。つまり「主張」が具体的に言い換えられて繰り返されるのです。小学生の作文ならここで終わってしまってもかまいません。でも、論説文にするにはそのように主張する「理由」と、その主張の「具体的内容」が次に述べられて、主張が正しいことを裏付けます。
一般的意見・客観的事実
でも
主張(抽象表現)
つまり
主張(具体的表現)
例えば
具体的例示
なぜなら
理由
だから
念押しの主張の繰り返し
ここで注意が必要なのは、「表現の具体化」と「内容の具体化」は別だということです。言い換えると、「沈魚落雁、閉月羞花」と抽象的に表現されている「主張」が、その右で具体的に「彼女は美人だ」と表現し直されているのが「表現の具体化」です。一方「彼女は美人だ」という主張の具体的内容が「愛らしい瞳」や「紅い唇」なわけです。これはどちらも「同格」というロジックなのですが、目的が違います。そして、これについて書いてある現代文の問題集や参考書がとても少ないような気がします。
さて、これがどのように問題化されるかというと、こんな具合です。
設問1 傍線部に「沈魚落雁、閉月羞花」とあるが、それはどういうことか?
設問2 傍線部に「彼女は、その美しさに魚は沈んで岩場に隠れ、渡り鳥の雁は恥じ入って落ちてしまうくらい美人なのである」とあるが、それはなぜか?
設問3 傍線部に「彼女は、その美しさに魚は沈んで岩場に隠れ、渡り鳥の雁は恥じ入って落ちてしまうくらい美人なのである」とあるが、それは具体的にどういうことか?
設問4 傍線部に「相手にしてもらえない美人を敬遠してしまうのが問題だ」とあるが、それはなぜか?
設問には「それはどういうことか?=それは何か?」と「それはどうしてか?=それはなぜか?」の2種類しかありません。いろんな言葉で表現されてはいますが、この2つのどちらかに分類されます。そして、設問2が主張する「理由」である以外は、すべて「主張文」のことを尋ねてます。
だから「主張文」と選択肢とを比較すれば良いわけです。その時、比較ポイントを明確にしておくことがコツでしたね。全体を漠然と比較するのではなくて、「テーマ」が主張通り正しく使われているものを選べば合格です。次回はやっと早稲田の英語です。
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2 Comments
藪下先生
突然のメールで失礼致します。2009年に名古屋高校を卒業しました、加藤高志と申します。大変ご無沙汰しております。覚えていらっしゃいますでしょうか。
今回はこのページに関しての質問ではないのですが、少しご相談したいことがあり、私が在学中から先生がホームページを作られていたことを思い出し、探してご連絡させて頂きました。
もし、ご迷惑でなければご返信をいただけると幸いです。よろしくお願い致します。
加藤高志
高志君!久しぶりですね。いつでも学校に会いに来てください。待ってますよ!
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