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Reading Drill・内容説明問題の解き方・それは何か?(2)

前からReadingDrillの番外編、「内容説明問題の解き方」を解説しています。前は、下線部に承前語句が入っているタイプを勉強しました。今回は、下線部の直後に「同格語句」が来ているタイプを勉強します。
②下線部直後に同格語句が来ている「それは何か(それはどういうことか)?」
実存主義に属する思想家の一人ヤスパースの考えによると、哲学の根本性格は、(2)「挫折を通じて超越すること」にある。つまり、対象的にせよ主体的にせよ、われわれの思索は、必ず、何らかの限界にぶつかって難破してしまう。しかし、この難破を通じて、実は、より広い深い地平が開かれてくるのである。そして、このような挫折を通じての超越は、言葉を換えて言えば、主体的な思索であり、実存的自由であるともいえる。
設問2 下線部(2)の内容は具体的に何か、日本語で説明しなさい。
英語でも日本語でも、著者は先ず抽象的な表現を使って自分の主張を展開し、次にそれを分かりやすいように具体化します。こんな具合です。
抽象的な主張」→つまり、すなわち、言い換えれば→「具体的な説明
「抽象的な主張」も「具体的な説明」も言ってることはじです。だから「抽象的な主張」と、その「具体的な説明」は格関係にあります。そして、「抽象的な主張」と「具体的な説明」の間に入って、同格関係を宣言しているのが「つまり、すなわち、言い換えれば」という同格語句です。
今年のセンター国語の大問1でも、やっぱり同じ事が起こってます。著者は先ず「啓蒙のベクトルがどんどん落ちてゆくこと」が良くないと主張します。「啓蒙のベクトルが落ちる」というのは、とっても抽象的な言葉ですから何を言ってるのだかよく分かりませんよね。でも、次のところで「たとえば」という同格語句を挟んで、質問する方もされる方も「両者が一緒になって川が下流に流れ落ちるように、よりものを知らない人へ知らない人へと向かってしまう」ことだと具体的に説明します。ほらね!現代文も英語も同じでしょ!
下線が引かれているのは、著者がその文章の中で取り上げている難解な「テーマ」です。作問委員の先生達は、そのテーマがとても抽象的で分かりにくいものを一生懸命探してきます。そして、そこに下線を引いて、「それは何か?」とか「それはどういうことか?」と君たちに質問するのです。そんなときは、右側に「同格語句」を探せば良いのです。
英語の「同格語句」には次の様なのがあります。
namely
in other words
that is [to say
in fact
i.e.
:(コロン)
,(コンマ)]
これらは全部、「つまり」「すなわち」「言い換えれば」でOKです。あ、in factは「テーマ」についての具体的な事実を付け加えるときに使いますから「実際に」の訳語がつきます。i.e.はラテン語のid estの略語で、that isと同じです。
問題を見ると、下線部の直後に同格語句の「つまり」があります。だから、下線部の「挫折を通じて超越すること」が「つまり」の後ろで具体化されていることが分かります。
実存主義に属する思想家の一人ヤスパースの考えによると、哲学の根本性格は、(2)「挫折を通じて超越すること」にある。つまり、対象的にせよ主体的にせよ、われわれの思索は、必ず、何らかの限界にぶつかって難破してしまう。しかし、この難破を通じて、実は、より広い深い地平が開かれてくるのである。そして、このような挫折を通じての超越は、言葉を換えて言えば、主体的な思索であり、実存的自由であるともいえる。
だから答えは「対象的にせよ主体的にせよ、われわれの思索は、必ず、何らかの限界にぶつかって難破してしまう。しかし、この難破を通じて、実は、より広い深い地平が開かれてくる」こと。でも、「AにせよBにせよ」は余分だし、要らない形容詞や副詞も削ってしまって文を整えます。
我々の思索は限界にぶつかって難破してしまうが、この難破を通じてより広い深い平地が開かれてくること。
まとめておくと、こうなります。
下線が引いてあって「それは何か(どういうことか)?」には、下線部に「承前語句」が含まれていたら、下線部の前に答えがあり、下線部の直後に「同意語句」があれば、下線部の後ろに答えがある。
次回は「それはなぜか(どうしてか)?」の解き方を考えます。

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