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ReadingDrill第20回(2)

前からReadingDrill第20回の解説をやっています。今日は設問3の、省略について考えます。
設問3 下線部 have の直後に省略されている1語を、本文中の英語で答えなさい。
The best citizen science projects are win-win situations.  On the one hand, the scientific community gains access to far more data than they would otherwise have, while spending less money.  ~
省略は次の2つのパタンしかありません。あ、2については別のところで詳しく説明する予定です。
1.一度出たから2度目は省略
ここにいたければ、いても良いよ。
You can stay here if you want to [stay here].
2.よく使うから、なくても分かる省略
子供の頃、良く釣りに行った。
I would often go fishing when [ I was ] young.
センターの英文は「比較構文」ですから、接続詞 than を挟んで、同じ型の表現が2度繰り返されるのが普通です。だから1つ目のタイプの省略が起こります。
彼は僕よりも背が高い。
He is taller than I [am tall].
中学の時に習ったこんな英文も、「人is tall」型の英語が2度繰り返されるので、2度目は省略されます。つまり、同じ要素、「be tall」が消えてなくなります。
彼は背が高い。
He is tall.
僕は背が高い。
I am tall.
一方、センター英語の方は、キッチリ同じ型の表現が繰り返されているわけではありません。薮下は、これを作った作問委員のこう言うところがキライです。あまりにも作為的過ぎます。
市民科学の手助けがない場合に手に入るデータよりも、科学界ははるかに多くのデータを利用することができる。
The scientific community gains access to far more data than they would otherwise have.
科学界はデータを利用することができる。
The scientific community gains access to data.
彼らはもしかするとデータを手に入れられるかもしれない。
They would have [data].
だから、省略されているのがdataだと分かります。でも、この英語が間違っているのは、代名詞theyが具体的に指し示す名詞がありません。この they は members of the scientific community(科学界のメンバー)くらいの意味で使っているのでしょうが、the scientific community を they では受けられません。センターの英語を添削、修正するとこうなります。
そうでない場合に手にするデータよりも、はるかに多くのデータを科学者たちは手にしている。
Scientists have far more data than they would otherwose have.
科学者たちはデータを手に入れる。
Scientists have data.
彼らはデータを手に入れるかもしれない。
They would have [data].
ほらね!キレイな相似形になったでしょ!今年のセンターの英語は昨年と比べ、心情問題がなくなった分、設問自体は幼稚園の入園問題くらい簡単です。でも、問題文の英文は懲り過ぎです。同意語句を使って同じ内容を別の表現で言い換えてるので、文章の全体像がとてもボンヤリしてしまってます。さらに、代名詞theyが指す具体的な名詞さえない!ま、現代文も英語も、大学入試の問題は悪文と相場が決まっているのですが、文科省は実用路線に切り替えたのですから、原文に変な手を加えるのを止めてはどうでしょうか?!それに、もし手を加えるのなら、正しい英語にしてくださいね、作問委員の先生!

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