マーカ抽出法講義(26)
マーカ抽出法講義の26回目です。ここ数回、2013年度の広島大学の問4を解いてます。今回は設問1を考えてみましょう。でもこれは内容一致問題とは違うので、マーカ抽出法を使って解くわけではありません。
問1 Nun Studyの研究方法に関して、もっとも適切な英文を下の(1)~(4)から1つ選び、番号で答えなさい。
(1)Nuns gave oral answers to the researchers’ questions about stressful situations.
(2)Researchers investigated the diaries nuns wrote while they were young.
(3)Nuns were asked to write about positive and negative responses to stressful jobs.
(4)Researchers studied the documents on recent happenings around nuns.
さて、前にも書いた「調査・研究論文」の本文構成のことを思い出してください。「調査・研究論文」は本文の構成が決まっていて、構成要素が大体次のような順番になりましたね。
1.調査・研究の目的
2.調査・研究の手段、方法
3.調査・研究の結果
4.その結果から導き出せる、調査・研究の結論
そして設問文から、これは「研究方法」について尋ねていることが分かります。だったら、第1段落に「調査・研究の手段、方法」について述べている部分があるはずです。つまり、マーカの助けを借りなくても、どこに根拠文があるのかが分かるわけです。
¶1 One of the most fascinating findings about how our thoughts and emotions influence our health springs from a study of 180 nuns ranging in age from 75 to 103. Researchers had access to their early journal writings and were able to determine who among them had mostly positive attitudes when faced with stressful situations, and who had more negative responses to life’s problems. Some nuns were in their nineties and were highly functional with full-time jobs, while others were in their seventies and disabled.
これを読むと、先ずは「調査・研究の目的」が一番最初に述べられているのが分かります。つまり、how our thoughts and emotions influence our health(どの様に僕らの考えや感情が僕らの健康に影響するか)を調べるのがこの研究の目的なわけです。そして、次は「調査・研究の手段、方法」が出てくるはずですから、第1段落第2文を注意して読みます。すると、赤い部分こうあります。
⊿研究者は修道女たちが書いた昔の日記文を読んで、ストレスの多い状況に直面したときに、彼女たちの中のどんな人が前向きな態度を取り、またどんな人が人生の問題に対して後ろ向きの反応を示したかを特定することができた。
ここから分かるように、この研究の手段、方法は「修道女達が昔書いた日記文を読むこと」です。だから正解は(2)だと判断できます。
問1 Nun Studyの研究方法に関して、もっとも適切な英文を下の(1)~(4)から1つ選び、番号で答えなさい。
(1)修道女たちはストレスの多い状況についての研究者の質問に、口頭で答えた。
(2)研究者は修道女たちが若い頃に書いた日記を調査した。
(3)修道女はストレスの多い仕事に対して、前向きの反応や後ろ向きの反応を書くように求められた。
(4)研究者は、修道女に関する最近の出来事について書いてある文書を研究した。
でも1つ言わせてもらうと、「日記」の意味でjournalを使う場合、旅行記などの特定の目的のために書き綴ったものや、文学的な価値のあるものを指していて、修道女たちが昔書いた日記なんかにjournalなんて単語は普通は使いません。薮下は修道女達の生活をよく知りませんから断言はできませんが、もしinformant(被験者)の修道女が小さいときから修道院でずっと暮らしていて、日記を書くことが義務づけられていたような場合は、journal writings(日記の文面)を使っても違和感がありませんがね。でも、こんな特殊な表現を問題化するのはどうかと思いますよ。
これは今年のセンター試験の英語の問5に出てきたstyleと同じで、「外見」を言いたいのならappearanceを使い、styleなんて使わないのと同じです。ま、hair styleなんて言うことはありますが、あくまでも個別のstyleであって、全体的な「外見」ではありません。なんとか類義語を探して問題を作っているつもりなのでしょうが、2つとも完全に失敗しています。
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