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マーカ抽出法講義(24)

 マーカ抽出法講義の24回目です。今回からしばらくは2013年度の広島大学の問4を「マーカ抽出法」を使って解いてみましょう。「マーカ抽出法」は内容一致問題のための解法ですから、これが通用するのはせいぜい私立大学とかセンター試験くらいだと思っている子が多いと思います。確かに、国公立の2次試験で出題される問題形式は「和訳」、「内容説明」、「英作」が中心です。でも、国公立大学の2次試験にも今回取り上げる広島大学のように、「~に関してもっとも適切な英文を(1)~(4)の中から1つ選び記号で答えなさい」というのがあって、これも一種の「内容一致問題」ですから「マーカ抽出法」が使えます。こんな具合です。
問2 Nun Studyが解明した内容に関して、もっとも適切な英文を下の(1)~(4)から1つ選び、記号で答えなさい。
(1) Even though nuns ate the same food and never smoked, they tended to live unhealthy and inactive lives.
(2)  Nuns who had a positive attitude while young lived 2.5 times longer than those who did not.
(3)  Nuns who lived in similar housing and received the same medical care sometimes had different socioeconomic statuses because of aging.
(4)  The important elements for the healthiest nuns were to be witty and to have the ability to cope with troubles causing stress.
この種の設問は、選択肢すべてからマーカを抽出します。(1)は譲歩節をザックリとマーカにします。譲歩表現は「AなのだけどB」の形をしていてAが譲歩節、Bが主張です。そして、間違った選択肢を作るときには大体主張の方を操作するので、譲歩節を「確定要素」と考えると上手く行くことがあります。ま、不安ならば名詞のthe same foodだけでもOKです。
(2)には2.5 timesという数字がでてきますから、これが理想的なマーカになります。実際に、若い頃に前向きに生きてきた修道女が、そうでない修道女よりも2.5倍長生きをしたかどうかは分かりませんが、どこかに2.5という数字がかかわってくるはずです。これも、不安ならばtimesを取ってしまって、2.5だけをマーカにしてもかまいません。
(3)は普通に次の3つの名詞をマーカにします。形容詞が付いたままでも、形容詞を取ってしまってもどちらでもかまいません。要は根拠文が見つかれば良いのですから、マーカの抽出にあまり時間をかけないことが大切です。
(4)は、名詞the healthiest nunsだけでは不安なら、不定詞の名詞用法、つまり、薮下のいつも言う「ことシリーズ」をマーカにしてもかまいません。つまり、to be witty(冗談をよく言うこと)やto have the ability to cope with trouble causing stress(ストレスから来る困難な状況に対する忍耐力があること)をざっくりとマーカにします。ここら辺はいい加減でもかまいません。何度も言いますが、根拠文を探す為の手がかりになれば良いだけですからね。決してマーカを抽出することが最終目的ではありませんよ!
さて、これだけの下準備をしておいてから本文に取りかかるのですが、この問題のような「調査・研究論文」について覚えておいて欲しいことがあります。「調査・研究論文」は本文の構成が決まっていて、次の4つの要素が大体順番にでてきます。
1.調査・研究の目的
2.調査・研究の手段、方法
3.調査・研究の結果
4.その結果から導き出せる、調査・研究の結論
普通は、この4つの要素に別々の段落が割り振られてます。でも、去年の広島大学の問題は3段落構成で、「1.調査・研究の目的」と「2.調査・研究の手段、方法」が同じ第1段落にまとめて出てきていて、第2段落に「3.調査・研究の結果」、第3段落に「4.調査・研究の結論」と続きます。そして、問2は「Nun Studyが解明した内容」ですから、「3.調査・研究の結果」について尋ねられているので、第2段落をマーカを探しながら読んでゆけばよいわけです。するとゾロゾロとマーカがヒットします。こんな具合です。
¶2 What stood out for researchers was this: (2)the nuns who wrote about their lives with the most positive attitudes at a young age were 2.5 times more likely to be in better health in late life than those nuns who saw life through a darker lens.  (1)(3)Since the nuns in what is known as the Nun Study were all eating the same food, were nonsmokers, drank little if any alcohol, lived in similar housing, held similar jobs, were receiving the same medical care, and had the same socioeconomic status, the differences were all the more striking.  (4)The healthiest nuns were those whose writings showed a clear sense of humor and ability to adapt to life’s stressors―including the normal health challenges that can accompany aging.
最初に選択肢(2)のマーカの2.5 timesがヒットします。
(2)若い頃前向きな生き方をした修道女は、そうでないのに比べて2.5倍長生きをした
Nuns who had a positive attitude while young lived 2.5 times longer than those who did not.
マーカ文が根拠文になっていてるので、とても素直な問題だと分かります。
若いときの自分の生活をとても前向きに表現した修道女は、後ろ向きに見ていたのに比べ、後の人生で2.5倍健康だった可能性が高い。
The nuns who wrote about their lives with the most positive attitudes at a young age were 2.5 times more likely to be in better health in late life than those nuns who saw life through a darker lens.
「2.5倍長生きする」のと「2.5倍健康である度合いが高い」のを比べると、「長生きする」と「健康である」の部分に細かい事実のすり替えがあるので、(2)は誤りであると判断できます。今回はここら辺にしておきます。あ、問題文全体は、いつもの「やぶゼミ」のところに載せておきます。

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