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マーカ抽出法講義(21)

マーカ抽出法講義の21回目です。ここ数回は今年のセンター試験、問5の「内容一致問題」の解き方を解説しています。今回は設問3を考えましょう。
問3 Which of the following is true?
①Chitose gave the portrait made by Salvador to her parents.
②Chitose painted the new portrait before writing the letter.
③It took Salvador two years to make Chitose’s portrait.
④Salvador painted the portrait after Chitose changed her appearance.
このタイプの内容一致問題は、全ての選択肢からマーカを抽出します。そしてこのマーカのほとんどがお爺ちゃんの日記の2つ目の段落の第1、第2文でヒットします。こんな具合です。
I gave the portrait of Chitose to ①her parents thinking they would appreciate it.  I had done the portrait a couple of months before Chitose started changing④ her style, and I think it shows the high school student I taught for ③two years.
チサトの肖像画を彼女の両親に渡したのはチサトではなくてサルバドール爺さんだし、2年というのは肖像画を描くのに要した時間じゃなくて高校生のチサトに絵を教えていた期間だし、サルバドール爺さんはチサトの外見が変わる前に肖像画を完成していたのだから、①、③、④は全部「細かい事実のすり替え」があるので、本文の内容とは一致しません。
さて、問1の根拠文は第1部のサルバドール爺さんの日記の第1段落にありました。そして、問2の根拠文は第2部のチサトの手紙の第1段落にありましたね。だったら、問3の根拠文は、問2の根拠文の後に出てくるはずです。なぜなら「設問の順番とストーリーの展開は一致する」というのが内容一致問題の基本的なルールだからです。だから、問3②の根拠文は第2部のチサトの手紙の第2段落から先の部分にあるんじゃないかと当たりを付けます。そう思って読み進めると、第4段落の冒頭文にこんな件(くだり)が出てきます。
あたしたちの肖像画を描きました。そして、その写真をお爺ちゃんに送ります。
I’ve painted a portrait of us and am sending you a photo of it.
ということは、「私たちの肖像画」ですからそれはnew portraitだし、チサトは手紙にその写真を同封しようとしているのだから、この手紙を書く前にもう肖像画は完成しているはずですね。だから②が正解だと判別できます。
問3 次のうち、正しいものはどれか。
①チサトはサルバドール爺さんが描いた肖像画を両親に渡した。
②チサトはこの手紙を書く前に新しい肖像画を描いた。
③サルバドール爺さんがチサトの肖像画を描くのに2年かかった。
④サルバドール爺さんはチサトの外見が変わった後でチサトの肖像画を描いた。
問3の選択肢①、③、④のマーカ文がお爺ちゃんの日記の第2段落にヒットするという番狂わせがあったのですが、正解である選択肢②の根拠文はちゃんとルール通り、問2の根拠文よりも先で見つかりました。普通は1つの段落に1つの設問が割り当てられますから、マーカ文は1つの段落の中で大体見つかります。でも、この問3のマーカ文は、お爺ちゃんの日記とチサトの手紙の2箇所に散在していますから、戸惑ってしまった子がたくさんいたことでしょうね。マーカ抽出法講義の最初でも書いたとおり、時間的に本文は1度読むのが精一杯ですから、そんな子はあちこち読み返しているうちに時間がなくなったんじゃないでしょうか。
ここで大切なのは、1度決めた解き方の手続き・手順は絶対に変えないことです。もちろん、「マーカ抽出法」は絶対ではありませんから、この方法を使っても解けない問題が必ずあります。それでも、「マーカ抽出法」を使い続けることが肝心なのですよ。内容一致問題を解く度に、解き方の手続き・手順を一々変えていては、その問題が解けなかったとき、なぜ解けなかったのかが判然としません。いつも同じ手続き・手順で解いているから、どこがいけなかったのかが分かるのです。そして、「マーカ抽出法」の解法に問題点が見つかったら、その都度微調整すれば良いわけです。そうすることで、「マーカ抽出法」の精度がどんどん上がってゆきます。

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